地方育ちだということもあり、言葉のイントネーションを指摘されることがたまにある。

そのつど矯正に努め、そして矯正に成功してきたのだが、上京して以来十余年、いくら気を付けても未だに矯正できない単語が一つある。



『カレー』。



僕がこの単語を言うと、魚の『カレイ』に聞こえるらしい。

『カレー』と言うたびに必ず聞き返されてしまう。

外食時、『カレー』を注文したはずが『カレイ』を出されてしまったということも過去に数度。



なぜだか解らないが、この『カレー』という単語だけは、うまく言えない。

厄介なことに、僕の“好きな食べ物ランキング”で2位に大差をつけての1位が『カレー』なので、この単語を言う頻度も他と比べてかなり高い。

言う機会が多ければ、聞き返される機会も多い。

聞き返されても、結局また同じイントネーションで『カレー』を言ってしまうので、『カレー』自体の説明をしなければならない。



「あの、野菜と肉と煮込んだ料理で・・・

えっと、茶色くてご飯にかける・・・

その、辛くて・・・

あ、カツカレーのカツが乗ってないやつです!」



『カツカレー』は言える。