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城や郷土史の研究にはくずし字の解読が欠かせないわけですが、先日「人文学オープンデータ利用センター」が開発した「みを」というアプリがリリースされました。機械学習を利用して崩し字を認識させるわけですが、なかなかよくできたアプリです。

 

で、村上城最古の御殿絵図だと考えていた「越後村上城居城分検図」について、このアプリを使って調べてみました。この絵図の原本には「小田〇兵衛」という絵図の作成者らしき名前が記されているのですが、イマイチ〇の個所の読み方が判然とせず、長らくこれを「小田縄兵衛」だとばかり思っていました。しなしながら、各時代の分限帳を調べてはみたものの、それらしき名前は見いだせず、成立年代は不明…という状況だったのですね。

(大瀧正輔氏所蔵)

 

ところが「みを」で改めてこれを読ませてみたところ「小田作兵衛」と出ました。早速資料をあたってみると、なんと幕末の内藤家名寄帳に同名の藩士が! さらにさかのぼってみると、嘉永2年の藤基神社棟札、寛永9年の羽黒神社拝殿棟札に、「大工頭」として「小田作兵衛」の名が記されているではありませんか!!

 

さらに「江見啓斎翁日誌」を見てみると、どうやら小田家は代々内藤村上藩の大工頭職を世襲し、「作兵衛」の名も世代を超えて度々もちいられていたようです。

長く成立年代不詳だった「越後村上城居城分検図」ですが、ほぼ内藤家時代の成立と見て間違いなさそうです♪ 御殿の改廃の軌跡を追う上で、個人的には大発見でした。