日経ビジネスアソシエオンライン の特集で、
元マラソン選手の有森裕子さんと対談した。
有森さんは現在、
ライツというアスリートのマネージメント会社の経営に携わりながら、
認定NPO法人スペシャルオリンピックス日本の理事長や、
特定非営利活動法人ハート・オブ・ゴールド
の代表理事を務められ、
幅広くご活躍されている。
興味深かったのが、有森さんは、バルセロナで銀メダル、
アトランタで銅メダルを獲得しているが、2つ目をなぜとれたのかという話だ。
なぜ成功を継続できたのか。
もともと学校の先生になりたかったという有森さんは、
“自分の優れた点”=“走ること”をとおして、
社会に良い影響を与えていきたいと考えていた。
社会に自分の発言を聞いてもらうためには、実績がいる。
“メダルを取ったら、世界を変えられる”
その思いから、バルセロナでメダルを目指した。
ところが獲得したものの、現実はなにも変わらなかった。
最近はプロのランナーやスイマーなど許容されつつあるが、
当時はさまざまな制約により、アスリートが自由に表現できる場所がなかった。
求めるとわがままだとバッシングすらされた。
“メダリストになる意味は何なのか”
2年ほど走れなくなるほどに悩んだが、答えは出ない。
“私がおかしいのか、周りがおかしいのか、社会に問いたい。
そのためには、もう一度社会への発言力が持てるよう、
オリンピックでメダルをとるしかない。”
意思の強さが、アトランタでの銅メダルをもたらした。
そして事実上プロランナーの第1号となり、自らの問いに答えを出したのだ。
このハングリーさはすばらしいと思う。
人間は死ぬほどくやしいことを経験した方が良いのかもしれない。
スポーツも経営も、実績でしか評価されない。
頑張ったかどうかは自己満足であり、社会は認めてくれない。
しかし、では頑張らなくて良いのかというとそうではない。
努力は決して裏切らないからだ。
そんなことを思い返させられる対談だった。
この対談の模様は、日経ビジネスアソシエオンライン
で
7月末から4週連続公開(予定)。
ぜひご覧ください。
余談だが、有森さんのハート・オブ・ゴールド
では、
年1回カンボジアのアンコールワットでハーフマラソン大会を実施、
昨年は世界43か国から2,966人が参加されたとのこと。
アンコールワットの周りを走ることができる、世界で唯一のイベントだそうだ。
近くのお寺へ遠足に行くだけでも大喜びの、私のカンボジアの子どもたちも、
ぜひ連れて行ってあげたいと思った。
あの子たちは完走できるだろうか。