2月に入り、ニッポン放送の番組に寄せられる経営相談のメールの内容が深刻化した。資金繰りに子供の結婚費用を充てることを考えている経営者もいて、切実さに胸が痛む。

菅首相とも電話で話す機会があり、経営現場の生の声をお伝えした。議員バッジを外した身だが、政府与党に今、3つの指摘提言を届けたい。1つ目は、昨年の緊急融資で借りた資金の返済据え置き期間がまもなく終わることだ。コロナはこの1年で収束しなかった。

経済が再開するまで、据え置き期間は延長すべきだ。経済が再開していないのに銀行から「返済」を執拗(しつよう)に求められれば、中小企業はトドメを刺される。銀行はとにかく不良債権化を嫌がり返済を求めるのだから、国が「据え置き延長」を示せば解決することだ。

2つ目は監査法人の会計基準だ。大手企業を悩ますのは、監査法人が企業にGC注記(継続企業の前提に関する注記)を、どんどんつけていくことだ。特に問題なのは減損基準だ。企業の保有資産の価値が目減りした際、目減り分を決算に反映させるものだ。

例えば、1億円を投資した店舗が長く赤字なら、投資額は全部落とされる仕組みだ。なかには、全店舗の9割の減損を指摘された外食企業もある。

コロナ要因での急激な落ち込みは、通常の基準だけで、企業の未来を測れない。しかしGCひとつで銀行の態度は変わる。経済のV字回復の大きな足かせだ。先日も与党の企業会計小委員会を仕切る旧知の議員に対して、コロナ前6~7割水準の回復見込みを目安とし、監査側が破綻責任を問われない、コロナ対応の特別会計基準を作るべきだと強く提言した。

3つ目は、飲食店へ時短「命令」の適用が検討されていることだ。しかし「命令によって倒産や廃業は1社も出さない」と、国は先にメッセージを出すべきだ。店や会社を「潰す命令」などあり得ない。
ワタミが展開するミライザカのコロナ対策モデル店では、各テーブルを仕切り、新特許技術の除菌をはじめ、約10の感染対策を実施している。大事なのは命令という強権でなく、感染抑制という目的意識の達成だ。

先日、テレビ東京「カンブリア宮殿」に16年ぶりに出演した。16年前は「1兆円企業」と手帳に夢を記していた。今は「5000億円企業」と記してある。大事なことは、大きさでない。夢をしっかりと描き、日々、その夢を追っているかである。

財政再建論者の私はバラマキには反対だ。しかし、チャンスの土台作りは国の責任だ。そこから先は経営者の努力や気力だ。オリンピック開催だけが希望ではない。チャンスこそが希望であり、政治にはそこを期待したい。 

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より