米国のイラン攻撃以降、日本は円、株、債券が売られるトリプル安に見舞われている。この状況下で、実は日銀が債務超過寸前ということは多くの人に知られていない。

ニッポン放送の番組で、元モルガン銀行東京支店長の藤巻健史さんと意見交換した。藤巻さんの試算では、日経平均株価が4万9000円以下、長期金利が2・5%まで上昇すると、日銀の含み益はゼロになり、あとは内部留保を食いつぶすと、いよいよ債務超過となるという。

日経平均が1000円下がると、大量の上場投資信託(ETF)を保有する日銀は、約1兆8000億円の評価損となる。今後世界が、債務超過の日銀が発行する円を信用し続けるのか。信用を失ったとき、一気に「円安」が加速しかねない。

藤巻さんは「逆にわれわれ日本人が、外国の債務超過の中央銀行の通貨を買うかといわれたら、不安で買わないだろう」という。政府は物価高対策でまた赤字国債を出し、積極財政を続けるだろう。

債務超過の中央銀行が、国債(借金)を引き受け、円を刷り続ける。そんな打ち出の小づちが許されるはずはなく、財政ファイナンスに手を染めた国は、歴史上、必ずハイパーインフレに見舞われている。

先日、大手銀行幹部と話したが、「イラン攻撃での経済危機は、世界の国で起きかねない」という。例えば、東南アジアのエネルギー資源を持たない国から始まり、「日本に飛び火するかもしれない」との見方も示していた。

政府は3月、ガソリン価格の上昇を抑える補助金支給を再開し、全国平均小売価格を170円に抑制させるとした。しかし、原油高も円安も今後、まだまだ続く可能性がある。170円と言い切ったことは「大失敗」だと思う。補助金の原資は税金で、財源は赤字国債となる可能性が大きい。財政悪化から、国債が売られ長期金利が上昇すれば、将来的に国民にそのツケが回ってくる。

先日、米国のサブウェイの新しいトップ、ジョナサン・フィッツパトリックCEO(最高経営責任者)が来日し、2日間話し合った。高市早苗首相とドナルド・トランプ大統領の首脳会談について、「欧州の首脳のように日本も日本の意見をいうべきだ」という点で一致した。ビジネス交渉では、お互いの意見をいい合い、「WinーWin(ウィンウィン)」の着地点を探るのが当たり前だ。

日本国内で、ワタミがマスターフランチャイズとして展開するサブウェイを1000店にする具体的戦略について合意ができた。その変わり、こちらの求めにも、柔軟に応じてくれた。さらに来月からは、米国で一番人気の「ランチドレッシング」を日本でも導入する。ランチはお昼ご飯の意味でなく、牧場の意味だ。私が米国で実際に食べて、ほれ込んだ。

一方で、ワタミグループのお店で会食を重ねた後、ワタミグループのお店で会食を重ねたあと、日本のローカルメニューのサンドイッチや、ドレッシングをもっと増やした方がいいと、米国本社からうれしい提案を受けた。日本と米国の「いいとこどり」だ。

イラン攻撃で、日本は原油高、物価高に苦しみ、自衛隊の派遣まで求められている。日米関係は、ウィンウィンには、ほど遠いと感じる。

 



【産経ニュース】「渡邉美樹経営者目線」(隔週火曜日連載)より