第34回ABCお笑いグランプリ決勝



先日、「第34回ABCお笑いグランプリ」の決勝大会の審査員をやってきた。

今日は、その感想!


この大会は、関東では放送されなかったけど、朝日放送が制作するお笑いの大会。ルールは、ほぼM-1と一緒!

結成10年以内のグループが頂点をめざして9組が戦うというもの。

違うところは、漫才・コント・ピンというくくりがなく、どんなメンバーでもチャレンジできる点。関東・関西で準々決勝までやって、前日準決勝。

翌日決勝メンバーが発表され、そのままネタをやる。ちょっとやる側としては、ドキドキもの!

しかし、前日の勢いをそのままぶつけられる点は、良いかも。


出演順は、準決勝の得点の高いグループが最後。トップ通過は、ジャルジャル。最後にやることになる。


本番のトップは、和牛

トップで漫才だったけど、非常に落ち着いていた。センターマイクを離れて漫才をやったりする。ネタなんだけどなかなか、あの余裕は出せない。トップでの開き直りなのか力量があるのか、俺としては、かなりの好印象!でも、トップで基準点になるからな~という意味で87点。


二番手

ジャングルポケット

3人組のコント。会社社員と上司のコント。最初に上司が呼び止められて、振り向くだけで笑いをとる。かなりくだらない力量と勇気がないとできない。しっかりつかみの笑いをとる。セリフもキャラもしっかりしている。これも良い出来!

一組目と甲乙つけがたく同じく87点。


三番手

シソンヌ 

二人組のコント。洋服のショップの店員とお客の設定。よくある設定かなと思いきや、お客は、犯罪者で捕まった時にどうTVや報道人にフアション的に映るかを気にして、かぶるウェアを探している。なかなか斬新と思っていると、その店もそれ専門のショップで、こっちのジャンパーとかこの手錠をアイテムにするといいですよ、と、アドバイス。ちょっと抜群のアイデア!発想が素晴らしい!

90点をつける。今後がとても気になるグループだった。


四番手

プリマ旦那

ビールのCMをやるのに、どうしたら良いかという設定の漫才。しゃべくりが、うまい。くだらなさも良い。ただ、前のソシンヌの発想を見ているだけに、俺の中では、ひとつ評価が下がった。89


五番手

アイロンヘッド

すぐ寝てしまう生徒と、それを起こそうとする先生のコント。非常に単純だけど、間とタイミング、言い方、くだらなさ。そんなんだけで笑わせる。賞レースとかには、不向きだけど笑いの原点とは、こういうものだ。と思わされた。キャラ・くだらなさ抜群。89点


六番手

GAG少年楽団

結婚式の新婦と新郎。友達がスピーチに立つ、すると、新婦との思い出を語り、新婦もそれにのっていく。板挟みの新郎。微妙な芝居が必要とされる演技を3人がそれぞれのキャラで、真面目に、きちっと芝居をしていいた。そしてポイント、ポイントでしっかり笑いをとる。今、賞レースのものでは、笑いの数を競っていくが、このグループは、コントのもつ芝居での笑いをグッと引き寄せてきた。その勇気・演技・構成が素晴らしい。そして最後は、コントらしく落ちをつけた。ちょっとやられた!今までの最高92点をつける。


七番手

ジグザグジギー

転校してきた生徒が、最初の出欠をとるときに、なかなか名前を呼ばれない。という単純な設定。しかし、それだけの設定のなかに呼ばれない生徒の不安、不思議さ、いらだち・・・そういうもので笑いを構成していく。繰り返しのギャグの彼らが得意とするパターンだが、良くこれだけ返しのギャグ・パターンをつくれると感心するほど、細かにネタを入れてくる。キャラもいい。このパターンが認知されて、色々な設定で受けることができたら、彼らは、くるかも!

91


八番手

天竺鼠

3つのコントをスタートさせ、それぞれに笑いをとっていく。良い発想。キャラも強いし、言葉のチョイスも良い。ただ、この3つがうまく、ラストにつながれば構成としても、満点なのだが・・・そこが甘かった。あとで彼らに聞いたら、自分らは、とがっているので、きれいにまとめたくなかった。と言っていた。まあーそれも若さか!点数を入れようと、している時に、最後の司会の藤井君とのからみがめちゃ面白かったので91点を92点にしてしまった。

そして


九番手

ジャルジャル

僕ら同級生なんですーと、ネタに入った時は、???なんだこの入り方は?と、思ってしまったが、そこから普通のネタに細かなジャブを入れ始め、ジャブがだんだん重いパンチに変わっていく。なるほとこういう構成か!と、思わせる展開。ラストは、準決勝で一番おもしろかったグループがくる、我々も、構えてみてしまう。彼らも、前にやったグループを見ている。(かどうかは、わからないけど)

そんな中で、このクオリティの漫才ができるのは、力のある証拠。本来コントをベースにやっているグループだけど、きちっと喋くり漫才ができていた。同級生として普通の会話をしてきたからだろう。色々なプレッシャーのなか、素晴らしい漫才だった。俺の最高得点94点をいれる。

そして、優勝は、ジャルジャルだった。


全体を見て、みんな力があることに、驚いた。

クオリティが高い!

結成10年以内という枠が、新鮮さと勢いを持っているパワーなのかも。

グループは知っていても、ネタを初めてみるグループが多かった。

ネタを知らないと、その構成、笑いの運び方そんなうまさに感心してしまう。引き込まれてしまう。

まだまだ、新しい笑いは、出てくる。心強い限りだ!


そして最後に、番組を制作してるスタッフが笑いを愛していることがわかる番組づくりだったことが嬉しい。

笑いを頑張ってる芸人がいて、それに光をあてようという番組があって次の世代が育っていく。そんな感動をもらった「ABCお笑いグランプリ」だった。