水戸藩九代藩主徳川斉昭公の臣下には、藤田東湖や武田耕雲斎、尊王攘夷思想のバイブルとも言われる「新論」を書した会沢正志斎などがおり、藩校弘道館で育まれた「水戸学」を中心とした「尊王」精神と外圧に対する「攘夷」思想が、明治維新の発火点として近世から近代への橋渡し役として大きな役割を担いました。

 しかし、薩長土肥と比べその活動や役割などの認知度は低く、水戸市民としては大変残念な歴史評価となっております。

 そのような背景なのか、水戸城址の景観整備や水戸学の個性や魅力の発掘・発信などは、薩長土肥を始め全国の歴史観光都市と比べて、約半世紀は出遅れていたのですが、この春には水戸城大手門」や「二の丸隅櫓」「土塁塀」等が復元し、激動の明治維新前夜の「古の水戸城址」が復興し、その完成を記念して「古の水戸城址復興」事業として、水戸東照宮の水戸藩御用「水戸祭禮行列」を百年振りに復活し、水戸城大手門など「水戸学の道」で催行いたします。

 このような計画が進み準備がされている中、何とNHK大河ドラマの主人公が、最後の将軍徳川慶喜公の臣下として、日本の夜明けを共に駆け抜けた日本産業界の父といわれる「渋沢栄一翁」で、第一回では水戸藩の攘夷の意志の発露として軍事訓練の「追い鳥狩り」や放映後の故郷紹介では復元した「水戸城大手門」が映し出され、其の後も慶喜公のお膳に、斉昭公の農本主義のシンボル「農人形」がさりげなく飾られたり、斉昭公が「尊攘」の大書を記すシーンがあったり、更に水戸・水戸と何度もナレーションも有り、水戸にとっては何ともありがたく、NHKさんへは感謝の限りであります。

 この放映を水戸の歴史景観形成や水戸学など歴史教育に大きく生かすことは行政の責務、これらと連携し水戸の個性と魅力の発信に務め、先人の遺徳や偉業に報いて欲しいと願っております。