それは、今から２４年ほど前、
京都のジャズバーで
カクテルを飲んでいた頃の話。
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霊感カウンセラー
渡辺カエルです
（プロフィール）
| そのジャズバーは プロジャズドラマーを引退した 岡田鋼太郎似のダンディな マスターがシェイカーを振っていた。 そんなある日。 大学生のわたしは、当時MDで 音楽を聴きながら店に入ると イヤフォンを外して カウンターに座った。 マスター「いつものでいい？」 カエル「はい、ソーダ割りで」 キープボトルのバーボン・ソーダが 出てきた。 マスター「さっき、何聴いてたの？」 カエル「今、流行りのやつです」 マスター「聴いてみたいな、MDかしてよ」 カエル「えっ！？」 マスターは美空ひばり専属だったこともある 本格派のドラマーで、 あまり流行歌は聴いてないようだったし、 店の雰囲気に合わないと思った。 マスターはその様子を察したのか。 マスター「たまにはそういうのも、いいじゃない。勉強になる」 と、ニコニコしながら言ったので、 わたしは、MDをマスターに渡した。 マスターが店のMDデッキの再生ボタンを押すと 浜崎あゆ◯の”Trust"が流れた。 やはり、店の雰囲気に合わない。 カエル「やっぱり、（店の雰囲気に）あわないですよ」 マスター「いいから。一曲全部聴かせて」 マスターは椅子に座って 瞑想しているかのように目を閉じた。 曲が終わって、目を開いた。 カエル「どうでした？」 マスター「歌ってる女の子は普通・・・でも・・・」 カエル「でも？」 マスターは続けて言った。 この女の子は普通だけど。 プロデューサーが超一流。 言っちゃ悪いけど、女の子は普通のどこにでもある 綺麗なイチゴみたいなもん。 でも、それをゴージャスで うまそうなショートケーキの上にのっけて、 みんなが食べたい、 イチゴショートケーキ作った感じ。 バックミュージシャンの音が どれも一流なんだけど。 これだけのミュージシャンかき集めて、 曲作って、流行らせるって 超一流のプロデューサだわ。 勉強になった、ありがとう。 と、言った。 わたしは鳥肌がたった。 マスターは流行歌を聴かないから 人気絶頂のあ◯の歌を聴いたことがない。 でも、一回聞いただけで それだけのわかってるのだった。 あ◯はデビューしたてだったから 普通の女の子なのは当たってて。 その人気はプロデューサの 松浦勝人（エイベックスを１０年で大手レコード会社に成長させ、小室哲哉とTRFやglobeなどで一時代を築く） 力を一撃で見抜いたのだ。 わたしは驚いて 「どうして、一回聞いただけでわかるんですか？」と 素人丸出しの質問をした。 マスターは 「続けることだよ。カエルくん。僕に特別な才能なんてなかった。けど、好きで続けてたら、わかるようになった。それだけだよ」 と、微笑んだ。 今でも、 バーボン・ソーダを飲むと ときどき、思い出すんだ。 才能なんて なくてもいい。 誰にでもできる ありきたりなことを コツコツと続けることの 大切さを教えてくれた すでにこの世を去ってしまった マスターの微笑みを。 | | | | | | |
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今日の一言
当たり前のことをコツコツと。
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