日々事務所では相続登記の仕事をしているわけだけれども、やはり東電の不動産賠償のために急かされて登記の依頼に来る人は多い。

その中で相続人間に対立や紛争があって相続登記ができないケースや相続人が多すぎて難しいケースは多々ある。調停や裁判をしていては費用も時間もかかってしまうため、賠償金の額から考えて結局相続登記を断念し賠償請求も断念するケースも多いだろう。震災原発事故後に亡くなった人の分の請求についても同様の事情で手つかずになっていたり、相続人がそこまでできる余裕がなかったりで請求していない家庭も多いと予想される。自分の請求だけでも面倒なのに、亡くなった人の分もやらなければならない。相続登記も面倒なのに、東電への請求もやらなければならない。

被害者は更なる負担を強いられ苦痛を受けているといえるだろう。

もろもろの事情であきらめてしまう人は相当いると思う。それを考えると本来東電が賠償金を支払うべきなのに、結果的に支払わなくて済んでしまう額はどれほどになるだろうか。そして時が経てば請求権も時効消滅してしまう。

なんだか被害者住民はやられっぱなしのような気がしてならない。