私の父、渡辺宙明は、令和4年6月23日の未明に老衰による心不全でこの世を去りました。就寝中に安らかに旅立って行きました。あまりに突然の事で息子として大きなショックを受けましたが、96歳という年齢を考えると大往生であったと思います。

 

父は、名古屋から上京してからの作品として1956年、31歳の時に「人形佐七捕物帳 妖艶六死美人」(新東宝)の映画音楽を担当して以来96歳の現在まで65年間、現役の作曲家として過ごす事が出来ました。多くの方々が父の音楽を愛し支え続けてくださったおかげだと思っています。有難うございました。

 

90歳を過ぎても作曲を続ける意欲は衰える事はありませんでしたが、昨年、「機界戦隊ゼンカイジャー」の音楽を大石憲一郎さんとの共作で担当した時には、当時95歳の父のエネルギーとパワーに驚かされたものです。

 

2018年、父が92歳の時には、父の代表作テレビアニメ「マジンガーZ」が「マジンガーZ/INFINITY」というタイトルで映画化され、その音楽を私が担当した事で、親子共作が実現し父と共に喜びあったものです。その事も一つのきっかけになり、テレビ朝日の番組「題名のない音楽会」に親子で出演することが出来、忘れ得ない幸せな思い出となりました。

 

映画、テレビドラマ、特撮もの、アニメ等様々な分野で数多くの作品を残し、世界の国々も含め多くのファンから愛され続けた父の音楽家人生は、実に幸せなものであったと思います。

今後も父が残した音楽が長きにわたって多くの方から愛され続ける事を心から願うと同時に、私自身、父が私に期待した想いを胸に抱き続けながら可能な限り父のように音楽家人生を歩み続けようと思います。

 

父が90歳の時。

父の卒寿を祝うオーケストラコンサートが開催され、その時に楽屋で撮影したものです。