6月14日に行われた『第一回ポップスオーケストラのための洗足学園国際作曲コンクール』の結果をお知らせします。

第一位   Zhiyi Wang ( 中国)// The Aroma of Exotic 

第二位      佐藤信人(日本)// 古い絵本

第三位      Gustaf Blix(スウェーデン)// Buffalo  Lift-off

順位は、三人の審査員がそれぞれ100点満点で評価し、その合計点の得点の多いもの順で決定されました。


第一位には、賞金100万円、第二位には、30万円、第三位には、10万円が贈呈されました。

国際作曲コンクールというタイトルに相応しく、世界の多くの国々から作品が寄せられたことは、嬉しい事でありました。

今回のコンクールの目的は、以前のブログにも書いた通り、広い意味でのクラシック音楽ファンや更に言えば、普段クラシックを聞かないような音楽ファンの方々に楽しんでもらえる管弦楽作品を生み出す事に有ります。

私は、音楽家としてシンフォニックオーケストラという演奏形態をこよなく愛する者ですが、オーケストラという大きな組織を維持して行く事の大変さとその事に付随する意味でのクラシックファンの減少に伴う危機感を感じている者の一人です。

良いホールでオーケストラが奏でる音楽は、本当に素晴らしいものですが、これを体験しないで一生を過ごす方々がとても多いというのも現実です。
それには、様々な理由が考えられます。

なんとなく敷居が高いムードが有る。
クラシックは、難しそうだ。
クラシックは、嫌いじゃないが交響曲など一曲が長いのでずっと聞くのはしんどい等。

まだ、他にも理由は考えられますが、そういった想いを持つ方々に是非一度は、フルオーケストラのPA等も使用しない純粋な意味での生のサウンドの美しさ、壮大さ、ダイナミックスの大きさ、様々な音楽的色彩の変化を体験していただきたいのです。

そのために、私が出来る事として、ポップスオーケストラとしてのコンサートを行ったりしているのですが、才能のある作曲家が現代の多くの人々に心からの感動を与える事が出来る楽曲を生み出す事の重要性も感じているのです。

このコンクールが、回を重ねるごとにそういった意味で音楽界にムーブメントを起こすところまで行ければ嬉しいです。

今回のノミネート作品について、全体に感じた事は、魅力的な旋律の乏しさです。

古今東西、人々に繰り返し聞かれる名曲と言えば、そのほとんどが印象深い魅力的な旋律を伴っています。

現代における名旋律とは、どういうものなのか?
それを判断するのは、講評で千住明氏が述べた通り作曲家本人のセンスということになります。
難しい課題であると思いますが、才能のある作曲家は、これに取り組む使命があると私は感じています。
そして、再来年に予定されている次回の本コンクールにおいて、是非、後世に残る名曲が生まれる事を期待したいと思います。


秋山和慶先生指揮 洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団の皆さん、
新曲9曲の演奏、審査員の楽曲の演奏、本当に真摯に取り組んで下さって感謝です。


講評の様子。
左から岩代太郎氏、千住明氏、私。


ノミネートされた作曲家の皆さん。
前列は、入賞者。
左から2位の佐藤さん、1位のWangさん、3位のBlixさん。



1位のWangさんと審査員の岩代太郎さんと共に。
Wangさんの楽曲は、今回のコンクールの意図からすると
やや難解な楽曲と感じた聴衆の方々がおられたかと思いますが、
圧倒的なオーケストレーションの力と緻密なハーモニーの創作力と
その美しさという点で審査員全員が1位の評価を与えていました。


3位のBlixさんと話していたら、なんとスウェーデン在住の
私の知り合いの事を知っていてびっくりでした!