昨年のことですが、雑誌「いきいき」のCMソングを作曲したことが縁となってその雑誌の出版社であるユーリーグから出版されている「生き方上手」の著者でもある日野原重明先生の94歳のバースデイ・コンサートの音楽監督を務めました。

コンサートは、日比谷公会堂でゲストに竹下景子さんをむかえ、先生の講演そして、ヤドランカさんの歌、久保陽子さんのヴァイオリン、私の指揮による東京ニューシティー管弦楽団による演奏という、とても豪華で贅沢な内容でした。

私は、先生にお会いするのは、初めてでしたが、テレビなどで紹介されている通り、90歳を越えた方とは思えないほど、お元気で若々しい方で驚かされました。コンサートが始まる前に先生が楽屋の裏の方をうろうろされているので、ちょっと心配になって、お聞きすると、なんと、「日比谷公会堂の楽屋などめったに見ることが出来ないから探検している。」と仰ったのです。この旺盛な好奇心をもたれていることも若さの秘訣だと思います。

この日の先生の講演の中で、先生が58歳の時に、よど号のハイジャック事件に遭遇したことを語られました。機内に3晩4日拘束され、無事に生還されたわけですが、このことが大きな契機になってその後の人生の生き方が大きく変わったといいます。

今死ぬかもしれないということに必然的に向き合わされた結果、人間にとって一番何が大切なのかを悟ったといいます。

それまでの自分の人生は医者としての名誉を求めることが大きな目的になってしまっていたが、それからは、人々のために尽くす医者になろうと決意して第二の人生を歩みだされたそうです。とてもショッキングで辛い体験でしたが、そのことがなければ、今の自分はないとも仰っていました。

58歳にして人生の岐路に立たれ、それから今年で37年間過ごされ、今が一番幸せであると仰る先生の生き方や言葉からは多くの学ぶべきことがあると思います。(私は、現在51歳ですが、先生の年齢まで何と44年もあるのです。まだまだ未知の可能性があるように思えてきますよね。)

人の役に立つこと、人に喜ばれる生き方が幸せへの道である事をそして、そのためには節度ある生活をし自己管理も大切であることなどを御自分が実践して示されていることに、尊敬の念を抱きます。今年も10月4日に同じ場所で95歳のバースデイ・コンサートが行われます。(私も参加します。)ますますお元気な先生にお目にかかることを今から楽しみにしています。





昨年のコンサート終了後、楽屋にて。左から二人目は久保陽子さん。