今日までかかる予定だったトラック・ダウンの作業は昨日の夜中に無事終了しました。それで今日は、出来上がった楽曲の中からサウンドトラックCDに入れる候補曲を選び出し、曲順などを考える作業をしていました。CDのためのマスターリングという作業が5日に控えているために急がなければならないのです。(マスターリングと言う作業でCD全体の統一感を出すために音質を調整したり、音量や曲間を決めたりして原盤を作成します。それが工場へ行きプレスされて商品になるわけです。)

さて、先回の録音の続きを書きます。録音時の編成は、最初の2時間半がフルオーケストラの編成(木管楽器がそれぞれ二管ずつ、ホルンが4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1、打楽器3、ハープ1、ストリングスが8,6,4,4,2)で、このセッションで11曲の録音をしました。今回の音楽予算は、邦画としてはかなり恵まれている方だと思いますが、ハリウッドと比較すると前回も書いたとおり相当な開きがあります。

例えば、昨年惜しくも亡くなられた映画音楽の巨匠ジェリー・ゴールドスミス氏の録音と比較すると、弦の人数が大きく違い、なんと18、16、14,12,10という編成なのです。(この数字は、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラ・バスのそれぞれの人数です。)弦だけで60名近くいるわけで今回の録音時における最大人数をそれだけでも遥かに上回っているのです。コントラバスが10人もいると、ユニゾンで低音を一弾きしただけでも太く存在感のある音になり、本当にうらやましい限りです。

ただ、日本では、悲しいかな、仮に予算があってもそんな人数の入るスタジオが存在しません。(正確に言えば、NHKにひとつだけありますが、貸しスタジオではないので。)映画音楽家としては、理想を追求すると色々辛いことがありますが、泣き言は言ってられません。与えられた条件の中で考え得るアイディアでカバーしながら自分の理想とする音に近づけていくわけです。

2時間半が終了したところで19時30分。30分ほど食事がてら休憩を取り、その後、ホルン以外のブラス・セクションがいなくなり、20時から24時まで編成を少しずつ小さくしながら休みなく録音していきました。

今回、珍しい楽器が一曲だけ入っています。何だと思います?

和太鼓なんです。

これが、どこで使われているかは、映画を見てのお楽しみです。

和太鼓は、広い空間で録音しないと良い響きが録れないので、オケの録音が終了してから、ダビングしました。30分ほどで終了し、それからは、私がシンセサイザーをプレーして足りない音を足し(打楽器やコーラス系の音など)3時過ぎに無事終了しました。




今回、録音に参加してくださった和太鼓奏者の西川さんです。