今年の1月、さだまさしさんの小学校時代からの親友である平山さんの奥さんが亡くなられました。

あまりに突然に起きた悲しい出来事に、平山さんご自身はもちろんのこと、さださんを始めとする私たち友人も大きなショックを受けました。

さださんは、平山さんの奥さんのために精霊流しをすることを提案し、昨日は、そのために長崎に行ってきました。

精霊流しでは、故人を送るための精霊船を作りそれを担いだり、車が付いている場合は押して動かしながら 最終地点である大波止まで街中を歩いていきます。(昔は実際に沖合へ船を流していたそうですが、現在は環境問題のため流し場で解体処分されてしまいます。)

16時ごろさださんのお店「飛行館」に参加者が集合しました。東京からの参加者は、私を含めてほとんどの人が初体験だったので、長崎の参加者から詳しい説明を聞きました。故人の霊を供養するための行事と言っても、実際は、爆竹をこれでもかと言うほどに炸裂させながら行われる祭にも似た激しい行事なので、けんかが起こることもあるそうです。






さださんから贈られた精霊船の前で






前の部分は、平山さんの友人の山口保さんから贈られた千本のひまわりで美しく飾られました。






帆に書かれた絵は、さださんのCDジャケットを担当したこともある、おぐらひろかずさんによるものです。ひまわりの中に立つ平山さんの奥さんです。さださんの9月発売のニューアルバムにも平山さんに捧げられた「向日葵の影」という曲が収録されています。






精霊船の前でさださんと。






出発前にも爆竹や花火をします。爆竹も手で持ったまま破裂させるのが長崎流です。
写真は、さださん。



18時ごろ出発しました。出発と言っても実際は、ゆっくりゆっくりと進んで行きます。3キロほどの距離を4時間近くかけて歩くのですから、止まっていることのほうが長いです。止まっている間は、それぞれの船の前で爆竹をやり続けます。一箱に100本ほど爆竹が入ったものを箱ごと火をつけたりするのですから、耳栓をしていても、耳を押さえたくなるほどの凄まじい音の応酬となります。気をつけていないと頭の上からも火の粉が降ってきます。






爆竹の燃えた後のごみです。



交通規制の中をまっすぐ歩いていきますが、途中、車が走っている道路を横断するのに時間がかかるのです。この写真は、思案橋付近の様子です。

激しい音の中にあっても、時折、平山さんの奥さんがそこに来て喜んでいらっしゃる感覚におそわれ涙が溢れそうになりました。爆竹を鳴らし祭のように騒ぐのも、しめっぽくならないように賑やかに霊を送り出そうという長崎流の供養の仕方なのだと理解しました。最終地点の大波止に着き、みなで精霊船に向かって最後の合掌を捧げ、精霊船を大型の船の上に投げ出すのですが、その時は、なんとも切なくやりきれない気持ちになりました。帰りは、みな無口になりながら、静けさの中、徒歩で飛行館に向かいましたが、その時初めて、皆の心にさださんが作った「精霊流し」の音楽が聞こえてきたように思います。