昨日は、作曲家の小六禮次郎さんからのご招待で「世界劇 黄金の刻」を観に武道館へ行きました。

これは、東京電力が全額出資して、なかにし礼さんが作・作詞・演出・芸術総監督、小六さんが作曲・音楽監督を担当して作り上げた独創的なスタイルの音楽劇です。

従来のものではオペラに近いスタイルと言えますが、大きな違いは、一人の登場人物に対して演ずる役者とそのための歌い手がいるという点です。

この話は、基本的に「安寿と厨子王」の説話が元になっているのですが、例えば安寿については、演技の部分は、女優の高島礼子さん、その歌の部分は、ソプラノの澤畑恵美さんがそれぞれ担当しているのです。

高島さんは、あくまでも役者として台詞を含めて演じながら、オペラティックな歌の部分も、歌の内容に合わせて動きの部分を演じていくのです。

その場合、歌手は、オーケストラボックスの中で歌うのです。

他の主な役者さんは、里見浩太朗さん、佐久間良子さん、尾上右近さん、松原智恵子さん、林与一さん他、主な歌い手の方々は、福島明也さん、宇佐美瑠璃さん、経種廉彦さん他。

堤俊作さんの指揮によるロイヤルメトロポリタン管弦楽団の演奏に和太鼓集団そして3000人の合唱が加わり、レーザー光線を伴う照明、美術などの効果も加え非常に贅沢でユニークな音楽劇の世界を堪能しました。

そして、本日は、世界的ヴァイオリニストの樫本大進さんの演奏を聴きにサントリーホールへ行きました。

樫本さんとは、私がNHK大河ドラマ「利家とまつ」の音楽を担当した時に、そのサウンドトラックの中でヴァイオリンソロの部分を弾いてもらったことからのご縁です。

本日のプログラムは、全てバッハの無伴奏ヴァイオリンのための楽曲でした。

皇后陛下がご臨席のもと満員の2000人の聴衆が見つめる中、あの広いサントリーホールの空間にたった一人の樫本さんが奏でるヴァイオリンの音がなんとも美しく堂々と響き渡り、天才バッハの音宇宙が無限に広がっていく感動は、言葉では表現できない素晴らしいものでした。

特に「パルティータ第2番」の第4楽章、第5楽章は、すさまじい集中力を伴った名演であったと思います。

音楽の神秘、不思議さを感じながら美しい音世界に浸る事が出来た至福のひと時でありました。




終演後は、ホール近くの中華料理店「トゥーランドット」で樫本さんのベルリンフィルのコンサートマスター内定をお祝いするパーティーがありました。

まだ30歳になったばかりの樫本さん、世界最高峰のオーケストラであるベルリンフィルのコンサートマスターですから、本当に快挙です!
ますますの活躍を期待しています。