本日は、ご招待を受けて「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ(SBYO)」のコンサートを聴きに行って来ました。
場所は、東京芸術劇場。

このオーケストラについては、テレビのドキュメンタリー番組などを通して,ある程度の情報は得ていましたが、やはり何事も生で体験するのは,大切です。

今回は、何年ぶりかの強烈な感動を味わいました。

まずは、このオーケストラについてご存じない方のために簡単に説明したいと思います。

プログラムによると、ベネズエラの英雄シモン・ボリバルの理想に共鳴した、ホセ・アントニオ・アブレウ博士と仲間の音楽家たちによって創設されたとの事。

アブレウ博士は、1975年に貧困のために楽器を買えなかったり、音楽のレッスンを受けられない子供たちのために無料の音楽教育を保証するためのプロジェクトを立ち上げました。

始めは、少数の教師で、ベネズエラの中央にある県で児童・青少年のグループを教育し、その青少年たちが将来また様々な県の青少年たちの教師となって教えるという方式をとって、短期間のうちに全国をカバー出来るようにしたそうです。

この33年間でなんと100万人の子供たちがこのシステムに加わったそうです。

オーケストラを体験する事で、連帯精神も養われ、人格も鍛えられ、犯罪や麻薬,暴力を予防する要素にもなっているとの事です。

現在では、このプロジェクトは、国立ベネズエラ青少年児童交響楽団システム財団(FESNOJIV)として運営されており、全国で25万人が参加している未就学児童オーケストラ・システムをはじめ、90以上の児童オーケストラ、130以上のユース・オーケストラ、30を超える成人のプロ・オーケストラによって運営されています。そしてこれに参加している子供たちの75%が貧困層に属しているとの事です。

今日聴いたSBYOは、その中の代表的オケです。

まず、人数が通常のオケの倍近い150名ほどもいて驚かされますが、芸術劇場のステージが足の踏み場のないほど一杯になり、指揮者が中央までくる通路をぎりぎり作っているといった状態で、その人数で情熱的に力をこめて弾いてくるので、その音響の大きさと音楽的うねりだけでも初体験の感動があるのです。

27歳の若きマエストロのグスターボ・ドゥダメルの指揮がとにかく素晴らしく、驚かされました。
この教育プログラムの出身者ということですが、音楽の神が彼に降り立ったかのように、深い集中力を途切れることなく持続させながら音楽の波を自在に的確に操る術をもっている、指揮者として正に天才的といったものを感じさせられました。(彼はこの若さで、2009~10年シーズンにロサンジェルス・フィルの音楽監督に就任するのです!)

楽団員全員も彼から発せられた音楽の波を的確に受け止め、その波に乗ることを最大限に楽しみながら渾身の想いと情熱をこめて演奏するので、音楽がさらにうねり出し、なかなか普通のコンサートでは感じられないような魂がゾクゾクする感動を与えてくれました。

特にチャイコフスキーの交響曲第5番は、素晴らしかったです。

コンサート会場では、色々な方とお会いしました。

パソナの南部代表、作曲家の都倉俊一さん、秋川雅史さん、ユニバーサルやエイベックスのクラシック班の方々、そして、ピアニストの清塚信也さんの調律もやっている私の高校時代の学友の程内隆哉さんにもばったり会いました。

彼は、明日のフォーラムAで行われるこのオーケストラのコンサートで共演するマルタ・アルゲリッチの調律を任されているとの事。

学生時代の仲間の活躍は、嬉しいものです。

明日18日は、友人の江原啓之さんやパソナの南部代表のお嬢さんの南部靖佳さんがゲスト出演するアマデウス室内オーケストラのコンサートに行ってきます。場所は、東京オペラシティ大ホールです。