腹筋運動が腰を痛める? | ケトルベルリフター渡辺陽介のケトルベルブログ

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最近、ジムなど現場では「腹筋運動すると腰を悪くする」という巷の噂が流行ってます。それについて。



どうやら、これは「腰を曲げると椎間板に圧力が加わるから危険性が上がる。」ということが根拠らしいです。一見筋が通った理屈に見えますが、しかし椎間板への圧力を一切排除して生活などできません。水の中で一生暮らすというのであれば話は別かもしれませんが。


腰を一切曲げずに日常生活を送ることはできまけん。一切腰を曲げてはいけないのであれば多分ほとんどの人間がベッドから起き上がることさえ出来ません。腰はたえず、反ったり曲がったり捻ったり側屈したり、それらをスムーズに繰り返すことで歩いたり走ったり方向転換したりベッドから起き上がったりすることができるのです。


そして「トレーニングは危険」という話自体が誤りですなぜならトレーニングってのは身体に負荷を与えて適応を引き出すってのが目的ですから「ケガのリスクになりえる動きを排除する」って考え方がそもそもの間違いなのです。「腰を痛めない体づくりをする」ことが大事なんですよ。結局スポーツや日常生活から腰を曲げる動作を一切排除することなんか不可能なのです。「万が一腰を変にひねってもケガをしない体づくりを予めしておく」というのから理解はできますが。

「腹筋運動は腰痛のリスクが上がる」という話ですが確かに平常時と比べたら運動時の腰痛のリスクは確かに上がりますが軽微なものに違いないですし、それならよほど長時間のデスクワークの方が圧倒的に腰痛のリスクが高いように思えます。


「腰」だけじゃなくこの類の話はいろいろ聞きます。膝を曲げたら膝を悪くするから、膝を曲げない様にしよう。「首を伸ばしたら首を悪くするからやめよう。」と言った様な。確かに関節を動かさなければ関節痛のリスクは減るかもしれないけど、それって関節痛予防運動ですか?

そもそも、これらの運動なくして快適な日常生活送れるのでしょうか?トレーニングのリスクを気にしすぎるあまりにトレーニングをやらなくなるなんて本末転倒だと思います。「一層のことトレーニングなんて全てやめてしまえ!」なんて思ってしまいます。


昔から、トレーニングの話題はメリットを議論するよりもデメリットを議論する方が大衆に届きやすいためか、「トレーニングは危険」という情報ばかりがまわりやすいです。


例えば、昔からある「トレーニング中に水を飲むな。」とか「暑い部屋でトレーニングする。」なんてリスクの話ばっかりされますが、これもうまく利用すれば良いトレーニングになります。

「トレーニング中に水を飲むな」って考えてみればスポーツの最中は、自分の好きなタイミングで水が飲めるわけじゃないので、喉が渇いた状態や、ある程度脱水が進んだ状態でも運動を続けなければいけない状態なんて山ほどあるんです。それに慣れるということってすごく大事。事実、私自身もすぐに喉が乾く体質で、競技中の喉の乾きが競技中の集中力に強く悪い影響を及ぼしていることに気づいていました。そこでトレーニング中に飲む水の量を減らしたところ、競技中に喉が乾いても集中力を切らさずに競技を続けることができるようになりました。


昔はよくあって今はあまり聞かない「暑い部屋でトレーニングする」というトレーニング法も同じことが言えます。高校球児がシーズン前の練習を全て冷房の効いた涼しい部屋でトレーニングしていたら、多分あの真夏の甲子園で勝ち抜くことはできないでしょう。(ただ昔のプロレスラーのように夏場に部屋を締め切って暖房焚いてトレーニングするのはあまりに危険だと思いますが。)たまには暑い中でトレーニングして暑さに慣れなきゃいけないんです。以前そのようにしてたまに暑い日に外で15〜30分ほどわざと練習をさせることで、実際に熱中症になる選手が減ったという報告もありました。もちろんこれは優秀な顧問の先生や監督がいたのでそうなったのであって、知識がないまま素人が真似したら思わぬケガをします。しかしこれはトレーニングにも同じことが言えます。どちらも度が過ぎればケガのリスクばかりが増えますが、大事なのはリスクを排除することではなくリスクを管理することなのです。