弟が亡くなって
実家の家の後片付けの為
8時間かけて帰るつもりで
重い腰をやっと上げて
出かけたけれど。
途中東京の少し先まで
進んだとたん
事故のため、2時間足止め
お陰で大幅に遅れて10時間以上
かかってしまったが
私達の後の東京駅は
もっと混雑してたのかな
夕方
五年ぶりの実家の玄関に入り
ただいまぁ~と大きな声を出して
中へ入ると
弟が次に帰った時にと
湿気を気にして
部屋の中に布団を干していて
夫婦の冬物のはんてんが
仲良く並んで掛けてあり
それを見ると切なくて
切ない気持ちを
吹き飛ばすように
元気に振る舞って
実家の家はコロナ前から
誰も入っていなかったから
庭木が大きく育ち
ツタやトゲのあるなも知れぬ木が
二階まで伸びていて
部屋の中は
クモの巣があちらこちらに
全く人が入らなくなったら
こんな風になるのかと…
私はと言えば五年ぶりに
10時間もかけて帰ってきて
身体は疲れているはずなのに
家の中に入ったとたん
まるで身体の
スイッチが入ったかのように
掃除機をかけまわり
クモの巣をとり
床やテーブル、棚や階段
あらゆる所を雑巾で拭きまわり
身体はくたくたなのにね
仏壇に手を合わせ
今日は終わりにしようと
鍵を閉めた。
この家は身体の弱かった母が
最後は故郷で暮らしたいと
50才になってから建てた家で
彼女の思いが詰まっている
しかし私達姉弟は
ここで育ったわけではなく
それでも母は最後まで
この家に私か弟に住んで欲しいと
私達に言い続けた
弟はここで
育ったわけでもないのに
母の願いを叶えるべく
退職したら
こちらに帰るつもりで
大きな冷蔵庫や
テーブルを買い揃え
次に帰った時
修理しようと準備していた物も
丁寧に保管されてあり
あの子が元気だったら
コロナも終わり
ここへ帰って来た時
きっと喜んだろうね
なんて想いを巡らせながら
器用な子だったから
家の中に
自分で作っていった
物干し場があり
感心しながら
それらを見つけた
お母さんの遺言を守ろうとして
あなたは優しい
親孝行な息子だったねと
話しかけていた。
親戚から採れたての
山菜をいただき
お浸しにして
翌日食べたら
懐かしい故郷の
春の味がした
いつかはみんなが
たどる道だと
言い聞かせて
故郷を後にした
それではまたね
よかったら友達に
なってくださいね

