さて、サード・クラスのがっつりフル・ステージを終えて、楽屋に戻っても、休む暇もなく、のちに知久さんに演奏をお願いする曲の歌詞と構成を書いたりと、大忙しの私でした。ベースをフルで演奏すると、普段慣れていないもので左手が麻痺しちゃっていて、全然文字が書けない、、(私は文字を書く時は左利きなのです)。

 

そうこうバタバタしているうちに、3番手、知久さんのステージが始まりましたよ〜。

いきなり『おるがん』!

「やめてくれ〜!」ってくらいの圧倒、圧巻の知久ワールド!次に出番を控える者の気持ちも考えてくれ〜(笑)!しかも、次が『らんちう』。イジメか〜!

いや〜、いつ見ても凄い。知久さんのステージは数限りなく見ているし、数限りなくステージもご一緒させてもらっていますが、毎回毎回いちいち凄いですな〜。

くじ引きも何もなく、いつの間にか決まっていた出順が知久さんの次の4番手だった私。

普段なら、こんなステージを繰り広げられたら、次の自分はどうすればいいんだ!と、オロオロするはずなのですが、この日はオロオロする余裕すらなくて、むしろ助かりました。

例の歌詞カード書きの仕事もありましたが、知久さんのステージでも私の出番ありで、そちらの意識の方が眼前に迫っていたため、ソロ・コーナーのことを考えてパニックになるヒマすらなかったのです。

 

途中、トモフが静かに乱入してドラムでコラボしたりしつつ(楽屋で十字を切って、我々に一礼してから、そ〜っと出て行きました、、笑)、4曲目だったか5曲目か、またまた私の出番。

 

お客さんに「また出てきた〜」なんて思われていないかと心配になるくらいに出番のやたら多かった私ですが、この日初めてのアコースティックギターで、たま時代の名曲『でんちう』を演奏。

もはや、知久さんと私が同じ場所にいるときは必ずやらなければいけない、という決まりになっているかのような曲ですが、本当に美しい曲ですな〜。一緒にハモリながら、毎回感動しております。

私一人で柳原さんパート、石川さんパート、滝本さんパートを全部コーラスしている、というのがこの曲での私の自慢ポイント!いや〜、今回もよかったな〜(自画自賛)。

 

そして、すぐにベースに持ち替えて(大忙し!)、サード・クラスとのバンド編成で『いつでもいつまでも』。

これがまた、よりにもよって、キーがBフラット。楽器をやらない方にはよくわからない話かもしれませんが、フラットくんはなかなかのクセモノでしてね〜。

しかも、フラットにはもれなくシャープが関係してくるという、脳内単純計算で様々なアドリブ・ステージを乗り切ってきた戦士ワタナベをもってしても、なかなか暗算の難しいキーなのです。

ピアノで言えば黒鍵にあたる場所なのですが、ギターの時すら手こずりやすいフラット&シャープの世界。特にベースの場合は一度見失ったらたちまち再起不能に陥ってしまいやすい、大変危険な戦いなのです。

ギターコードの場合はポジショニングでなんとかするのですが、ベースの場合はひたすらフレットを見てフラットを探すという、そんな、あまりシャープじゃないダジャレを言っている場合ではないほど、半素人ベーシストにとってはヒヤヒヤ曲だったということで、ついつい愚痴ってしまいました。失礼いたしました(笑)。

 

この、『いつでもいつまでも』は、毎年、知久さんのバースデー・ライブでやっていたりするので、まだなんとなく覚えてはいるのですが、やはりB♭やF#の世界は気を抜けない上、知久アニキの曲でミスをするわけにはいかないので、やはり緊張しました。ずっとベースのネックのフレットを目視確認しながら演奏していると、老眼も相まって、だんだん目眩がしてきます。

思えば、老眼の始まりは、サード・クラスのベーシストをやっていた時、40肩の始まりは『恋は渋谷系』をレコーディングした時と、それぞれ老いの瞬間をはっきり自覚しながらの音楽人生でした。ロックは確実にあなたの心を解放してくれますが、必ずあなたの体を蝕みます。しかし、音楽は確実にあなたの心を豊かにします。

 

また話が逸れてしまった、、。『いつでもいつまでも』は最近、知久さんの歌い方がポップな感じにリズミカルになっているのに気づいたディープ・ファンはいますかね?私の気のせいかな?個人的には、最近の知久さんの歌い方の変化によって、ますますこの曲がよくなったような気がしております。

 

たった2曲ながらも、密度の濃い知久コーナー出演でした。知久さんコーナー最後は、多分敢えて『いたわさ』という軽い曲で締めてくれました。オオツカさん、クメムラさんの女性コーラスとの掛け合いの、ミニサイズの童謡っぽい可愛らしい曲。おそらく、次の出番を控える私へのお気遣いではないかと思われます。本気バリバリ知久ワールドのまま終えられたりしたら、私はステージに出ていけませんでしたよ(笑)。

 

1〜2分で終わってしまう、短い『いたわさ』の曲中にボブ・ディランノーベル賞を記念して買ってきたドット柄のシャツに着替えだけ済ませて、曲順も何も決められないままステージへ。

ちなみに、ステージ前半は、みうらじゅん先生直筆の『Since1996』シャツ。本当はトモフ出番でネクタイ、サードは後輩なので敢えてネクタイを外し、知久さんの出番の時にまたネクタイ着用、という予定でしたが、トモさんにネクタイ拒否されたため、『Since』~『Since』~『Since&ネクタイ』〜『ドット&ドットネクタイ』という衣装順。誰も興味のない情報すみませんでした。何しろ、パソコンで長編小説を書いているものでね。

 

さあ、いよいよワタナベイビーとしての出番です。この時点でお客さんは3時間くらい立ちっぱなしだし、知久さんのステージで、満腹以上の状態に達しているだろうし、慌ただしくて何も考える時間もなかったりで、頭の中は真っ白。

あの知久さんのステージの直後には、もう反則技しかない!子供の頃は、ブッチャー・シークの凶器攻撃に憧れて、悪役レスラーになることを夢見ていた私です。ゴングが鳴ると同時に反則技を仕掛け、清志郎さんの『いけないルージュマジック』の「ベイベ〜、ワタナベイべ〜」を強引に大合唱させて、しつこさで知久さんの美しい記憶をかき消すという反則攻撃に出ました。

 

ちなみに、このワタナベイビー1曲目の時点で、ベース11曲、アコギ2曲の本日13曲目の「1曲目」でありました。すでにヘロヘロな上、お客さんの疲労やら持ち時間厳守やら(結果的には7分オーバー、、すみません)、とか色々な事が頭を駆け巡りながら、歌いながら喋る、というめちゃくちゃな手法だったため、何を喋ってるんだか自分でもよくわからない場面多数有りでした。

物販の宣伝だけはしっかりしつこくしていた気がするな〜。もう、ほんとすみません。

 

特に、2曲目の『ちはやふる』ではしつこかったのではないでしょうか、、。あれから10日間、反省の毎日であります。

昔から、ホフディランのファンは不思議シリーズには来てくれない、という定説があるので(笑)、アウェイではないけれど、みんな味方だけど、ホームとも違う(即ち、物販CDを売りやすい)現場であるとの判断のもと、実は出演者全員のサイン入り『BPLP』を無謀にも30枚も用意してしまったのでした。こればっかりは、この日に売らなければ!という、勝手な自分ノルマが課せられておりまして、失礼いたしました。

 

さあ、3曲目からはチャレンジコーナー。せっかくなら新レパートリーをやりたいと思い、ライブ2日前のリハーサル終わりで、オオツカさんに

「『久々映画デート』って曲があるんだけど、コード譜だけじゃ無理だよね〜」

と、ダメ元で相談したところ、

「早めにコード譜をくれたらぜひやりたい!」との快いお返事!帰宅し、直ちにパソコンでコード譜を書いて送るも、パソコンに入っているオオツカさんのアドレスは昔のアドレスだったのでした。携帯は水没による意識不明重体。とりあえず、不思議関係者全員にメールアドレス教えてくれ〜、との連絡を入れ、翌日は夜までホフ仕事。つまり、ライブ前日の夜に、いきなり一度も練習してもいない曲の譜面(しかもレコーディング音源より1音上げ)がオオツカさんの元に送りつけられたというわけです。オオツカ、申し訳なかった!ちゃんと金曜日に帰ってすぐ書いたんだけど、、、。

 

この曲は1度、トモフスキー南青山マンダラのディナーショーでトライして、見事大失敗した経験のある要克服ナンバーで、当日リハーサルで軽く触れただけの、ハラハラ緊張ナンバーでありました。

オオツカさんのサポートのおかげで、今までで一番まともに歌えました。トモフも星型タンバリンでシンバル乱入してくれました。これは、乱入というよりは、私の無理強いでして、「この曲の世界観を壊すのは嫌だ」というトモフに無理やり「お祭りですからぜひお願いします!」と、お願いしての登場だったのでした。多分、お客さんは全員、酔っ払ったトモフが勝手にフラフラと出てきたんだろうな〜、と思っていた事でしょう(笑)。オオツカ、トモフのおかげで、まあまあリベンジ成功と言っても良い内容にできたのではないかと思っておりますが、どうでしたかね?

 

さあ、そして次もほぼ初トライ曲。サード・クラス全員参加で、ベースなしバンド編成の新曲『想像ラジオ』。アルバム『BPLP』収録の、いとうせいこう氏に捧げたナンバーです。一度、ラジオのスタジオライブという形で演奏したことがありましたが、他ではやったことあったかな〜。いずれにせよ、バンド・アレンジでの演奏は初めて。散々サード・クラスに「練習時間をくれない」とぼやいておきながら、こちらも初めての曲を練習1日でやってもらいました。まあ、リハで4〜5回、当日1回あったから、私よりは酷ではなかったかな?いや、こういうタイプの新曲となると、かなりプレッシャーだったかもな〜、、。

この曲は元々のアルバム収録音源の時点でベースが入っておりません。いや、正確に言うと、ちゃんとベースも録音したのに、入れ忘れた、とでも言いましょうか。

mixingを担当してくれた永友聖也氏(ジングルズ)にレコーディングデータを送る際に、ベースのチャンネルデータを添付し忘れた、と言うお粗末なミスがきっかけだったのですが、「ベースが入っていないのにベースが聞こえますよ!」なんて盛り上がってしまい、そのままベースレスで収録してしまったのでした。

そんな訳で、今回もアコギとピアノでベース音を響かせる、と言う作戦。たぶん3人サード・クラスで普段からお得意パターンだったんじゃないかな。やはり新曲は緊張するけど楽しいな〜!充実の時間。帰りに物販に寄ってくれたお客さんからも大好評でした。ありがとう、サード・クラス!

トモフ氏に、「ベーシスト・マイクが空いているから、気が向いたらサビのコーラスで出てきてくれ」と誘ったものの、2回しか出てこないサビ部分、1度聞いただけで出てこられるはずもないし、ジョークのつもりだったのですが、次の曲でベースに持ち替える時、楽屋でトモさんと知久さんが「SOZO、、、」と一生懸命に練習している声が聞こえてました。すんません、先輩!もうその曲終わってしまいました(笑)。

 

本当に長くなってきた、、。次は、昔よく不思議ライブでやっていた『恋かしら』。これも何年ぶりかな〜。改めて落ち着いて歌ってみると、変な歌でしたね〜。ノイローゼです。

 

で、ラストはまたまたお初メニュー!サード・クラスのニュー・アルバム『ユメリシア』に提供、収録したのですが、ベースを弾きながら歌えなくて、まだライブで演奏したことのなかった『魔法のグ〜』という曲に初トライ!しかも、世界一エレキギターの似合わない男(似合わないが、うまい!)知久さんに当日ぶっつけでベースを弾いていただくことになりました。これは、滅多に見られないですよ〜。不思議ライブならではの特別ボーナス!知久さんのベース姿が見られるのは不思議ライブだけ!

私はまたも楽器持ち替え。この1曲のために、ず〜っとステージ上にエレキ・ギターを置いてました、、。

 

1人1行ずつ歌っていくという、割と難しい曲でしたが、知久さんのベースがバッチリだったおかげで、なんとか必死でやりきりました!ちゃんと客席にも伝わってたかな?もう2〜3回ライブでやればバッチリになるはず!

となると、2度も3度も知久さんを呼んでこないとダメか、、。数年後、サード・クラスのベーシストは知久さんになってたりして、、。

ハルさんといい、知久さんといい、随分贅沢なバンドだな〜。

 

ひゃ〜、実はBaby&Cider西千葉ブログまでは、全てガラケーで文章を書いていたのですが、携帯水没を機に、パソコン打ち(目標、ブラインドタッチ!)にしております。

 

ついつい、目新しくて、せっかくならば、思い出したことを全部書いてみよう!なんて思って、長編にしてしまったのですが、もうそろそろライブから2週間、、。まだ、これからが本番!という全体コーナーが控えております。記憶との戦い。全くフレッシュじゃない第3巻、来週あたり発表予定です。

 

 

ワタナベイビーより