とんでもない話しを聞きました! 元自衛官の同僚 | Wattan Net Life

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無道探訪‼︎                                         

 世の中には、自分の過ちを認められず、まったく無自覚に自己正当化している人もいます。これはそういった人の話です。過去の話ですが、私が最近になって知ったことなのでブログに残しておきたいと思って書いたものです。

 

 【職場にて同僚から聞いたエピソード】

 

 警備員である私が某タワーマンションで24時間交代制の勤務をしていたころです。その日はいつもと違ってメンバーに欠員が出てしまい、本社からの指示で臨時に代行員が来ることになりました。その彼から聞いた話です。

 彼(仮名A)の前職は陸上自衛隊で階級が2等陸曹、陸曹候補生(少年工科学校)から任官した経歴でした。そんなAですが、現在は警備員として施設警備の職に就いているわけです。たまたま私の勤務する現場で同僚として夜勤を共にする日がありました。仕事内容は防犯カメラのモニター監視をする時間が長いので夜中など2人きりで監視室にいると、どちらともなく話しかけることで長い時間を過ごすことになります。当然、話題も多岐にわたり話し好きな者が興に乗ってしまうことでいっきに”おしゃべり”になることもあります。私はどちらかというと、自分で言うのもなんですが聞き出し上手な方なので、Aの”おしゃべり”に合の手を入れる程度で受け応えしていました。

 かくいう私も、30年ほど前に入隊を経験したことのある元自衛官なのでAとの会話に花を咲かせるネタを振っては話題を引き出させることで長い勤務時間の”手待ち時間”をつぶしていたのです。そうするうちに、だんだんとAの性格というか人となりも判ってきてくるのです。彼は、「人に好かれたい」「誰からも自分をよく思ってもらいたい」という依存型であり、そのため周囲に流されやすく結果、容量オーバーでストレス自滅してしまうタイプなのだろうと印象を受けました。

 そんなAが「なぜ自分が自衛隊を辞めたのか」について興味深いエピソードを話し始めたのです。

 Aが勤務していた当時の勤務地や部隊名は伏せさせてもらいますが、とある連隊の男女混成部隊に所属していたらしいのです。そこでのAの役職は候補生上がりの20代で2等陸曹(軍曹)部下たちの内務生活管理も任される営内班長でした。そして、あるとき事件は起きたのです。Aの管理している班で「内務事件」が起きてしまったと言うのです。内務事件というのは、部隊内で起こった刑事事件で大きく分けると「窃盗」「暴行」「自他殺」です。この場合の事件とは内容を聞くと、なんとレイプ事件だったのです。

 当時、Aの班員だった3等陸曹(伍長)が若い女性自衛官を駐屯地の外で酒に酔わせて性暴行したというのでした。当然それは被害者から上官の隊長に訴えられ、加害者の三等陸曹は処罰されたらしいのですが、それに至るまでに班長であるAにも訴えがあったのです。しかし、Aのとった対応はまるで「けんか両成敗」的に応じたそうでした。それを私に話すAの口ぶりには何ら躊躇もなく平然と「やるべきことをした」と、驚くべき対応の無自覚さをたしなめる私に、さらに弁解して「彼女は日頃から外出時の帰隊遅延など規則違反のあった生活態度だった」から非があるのではないかなどと言っていました。

 よく話を聞いているうちに、それでも彼のいた部隊は比較的「まとも」な対応をする隊員もいたようでした。それはAの同期隊員で別の班長がAの代わりに加害者隊員を厳しく追及して上官に突き出したのだそうです。その報告を受けた上官である隊長が警務隊に通報し、事件として処理され(マスコミ対応は遮断したのか?)加害者は懲戒処分となったそうです(どの程度の処分なのか判りません)が本来なら刑事責任は免れないはずです。残念ながら、被害者にはどのような補償がされたのか話に聞けませんでした。私が察するに、おそらく退職されたのかと思います。こと最近でも、自衛隊で起きた性暴力事件で”特別防衛監査”実施にまで至る事件がニュースでも取りだたされました。被害を受けた元自衛官による訴えがマスメディアを通じて多くの人々の目に触れる事件となりました。ですが、自衛隊内の不祥事な中ではまだ氷山のほんの一角にすぎません。

 さて、肝心のAが自衛隊を辞めたわけですが、あきれ果てて一周回って責め立てる気も失せるほどでした。事件の発生を部下や被害者から知らされた当初のAが先ずとった対応は、加害者である自身の班員である3等陸曹を”かばう”ことだったのです。Aにとってとくに仲の良かったわけでもない3等陸曹でしたが、それは自分の班のメンバーでしたので「何とか助けてたい」気持ちが先に立ったそうです。Aの人の好い性格なのでしょうが問題なのは事の深刻さを理解できていなかった(今でも)のです。どうやらAにはジェンダー問題の概念がまるでないらしく、自分の不適切な指導をのちに部隊本部から叱責され、部隊内から「共犯者扱い」されたことが納得いかなかったようでした。私もその話のくだりまで聞かされて、思わず口をついて出た言葉が「当然だよ。バーカ」でしたから…。まあ、普段どんなに人の好い性格で、お年寄りにも優しく接することのできる人物でもハラスメントに対する理解を正しくできていなければ、明らかな不正を目の前にして「否」と言えなければ、それは自分も加害の共犯者になってしまうということです。さらには、自分がハラスメントの被害を受けたときにさえ、どう対応したらよいのかもわからないままになってしまいます。

 その警備員の勤務の夜以来、私もAの評価を見直すことになりました。まあ、友達にはなれないタイプですね。