このたび、私はレバノンに行くことになりました。
当初、イスラエル占領地やパレスチナ自治区へ行こうと目論んでいました。理由は、最近のパレスチナの現状に危機感を募らせたからです。しかし、なにぶんにも私がイスラエルに入国するのは初めてということや、「暫くぶりの海外」という諸般の事情から、何度か行ったことのある、勝手知ったるレバノンの方が動きやすいだろうと考えたからです。
しかも、今年の5月にトリポリ近郊北部のパレスチナ難民居住区、ナハル・エルバレドで起きた軍の攻撃から避難した多くのパレスチナ人難民が現在、避難所でどのような状態に置かれているか知る必要があると思ったからでした。
現在、日本からもNPOが現地の支援活動に参加しています。そちらからの情報も発信されていますが、一般的なものに留まっています。ナハル・エルバレド難民居住区への攻撃を誘引させた武装組織「ファタハ・イスラム」について諸々の噂は、いずれも良いものではありません。その辺は皆さまも、既出の情報を見ておおよその見当はつくと思います。
それよりも、レバノンにおける難民対策の実態がどうなっているのかに、私は危機感を抱きます。問題は、いつの時代もパレスティナ難民が政治ゲームの「捨て駒」にされていることなのでしょう。
もちろん、レバノン軍の難民居住区攻撃には、「過激派掃討作戦」という名目がついています。しかしながら、だからと言って人が住んでいる居住区を砲撃の対象にして良いという道理はありません。もし、これがレバノン人の住宅地だったら軍は同じことをしたでしょうか。
ピンポイントにならない砲撃は、無差別に人を殺傷します。建物などの大規模破壊を伴う攻撃の理由は、「そこにテロリス地が潜伏しているから」というものではなく、「そこがパレスチナ難民の居住区だから」という見方もあります。私は、そういったレバノン政府・軍の対応の実態というのも知りたいと思います。また、親シリア派と反シリア派の政争についての相関関係にも興味があります。
私自身のことで恐縮ですが、私は2003年の初め頃から自衛隊海外派兵問題や反戦運動に関わってきました。これからは、国外の問題にも目を向けながら、その現場が抱える問題と日本で起きている諸問題とを対象化して考えたいと思います。もちろん、異質は異質、同質は同質と、同時に似た様な事案をいくつか照らし合わせて観ることによって未知なる側面が判るかも知れません。
だいぶ大雑把ではありますが、上記のような主旨で現地に行ってきます。