写経の高貴な香りとは… | 春はあけぼの 女は美学

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50過ぎた女が感じたこと、考えたことを書いてます

こんにちは。伏見美帆子です。



アラカンオンナが、
感じるままに綴るブログです。


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もう、ちょうど一週間経ってしまった。


先週の土曜日、

ブログでも募集させていただいた、


写経


を体験してきたのだった。


場所は、

東京五反田池田山にある、

薬師寺東京別院。



こちらは、もともとワタシが

三千佛供養


をさせていただいており、
仏様をこちらに奉納していることから、

盂蘭盆会やお彼岸の際など
法要に出かけることはあったのだが

写経に関しては、
全くの初めて。

予約なしでできるのだが、
なんとなく躊躇して
筆を取ることはなかった。


それが今回、
お写経体験会をしようと言うこととなり、
一人ではできないことも
誰かと一緒なら物おじせずに
体験できる!と、開催。


五反田駅で待ち合わせして、
いざ、薬師寺東京別院へ。




受付を済ませ、

初めてだと言うと

丁寧な説明が始まる。


仏様がいらっしゃる、

御本堂の中で写経が行われるため、


身口意を整えるのだ。


身口意(しんくい)とは、


身〜動作を行う身、身体。

口〜言語表現を行う口

意〜精神作用をなす心


のこと。


身体を清めるには、

御本堂で常に焚かれている香炉をまたぎ

身を清める。


口には、

丁子という生薬を加えて

言葉が話せないようにする。

丁子はクローブとも呼ばれ、

強い抗酸化作用があるもの。


意は、

輪袈裟と呼ばれる、

首にかけてて胸に垂らす袈裟を身につける。

袈裟をつけることで、気持ちも引き締まる。


輪袈裟はこのような感じ。


さらに、写経の前に墨をすることで、

心も安定してくる。

いわゆる

「禅」のような、

「瞑想」のような

「マインドフルネス」のような。


写経自体が「瞑想」のような感覚になるのだが

墨をする行為は

そのプロローグ。

そこで心も静まってくる。

こちらで写経の説明を受けた。




そういえば、

以前、お香の先生に教わったのだが

書道の墨には、

ニカワの香りを消すために、

「龍脳」というお香の原料となるものが

入っているらしい。


一般的なあの墨の香りは、龍脳の香りなのだ。


龍脳は、木の樹脂の結晶。

「龍の脳」と呼ばれるべく、

とても希少価値の高いもの。

頭痛を和らげてくれたり、

中枢神経の興奮を鎮めてくれる働きがある。


まさに、

墨をする、墨で書く、という行為は

気持ちを落ち着かせる作用があるのだ。


龍脳の香りは

楊貴妃のお気に入りの香りだった。


ちなみに、

口にくわえる丁子、クローブの香りは

クレオパトラがバラと共に愛した香り。


焚かれているお香は白檀。

小野小町が好きだった香り。


全て、

三代美人が愛した高貴な香りである。




入堂して、香炉をまたぎ
仏様に一礼して、好きな席に着く。

墨をすりながら
龍脳の香りを堪能する。

墨がトロリとしてきたのが
濃くすれた合図。

筆につけ、
ソロソロと書いていく。
下に般若心経が印刷されている紙を敷いて
その上をなぞるので

考えることもなく
淡々と…

上手に書く必要もなく
ただただ、書くことに集中する…

時折、この意味はなんだらうと頭をかすめても
手元に、
言葉の意味を記したものも貸していただき

ああそうだったのかと
また半紙に向かう。


どれぐらいの時間がたったのだろう。

時計も外していたので

時間の感覚がない。


一緒に参加した方々は

もうとっくに終わっていた。


最後に、

書いた写経をお香の煙に燻らせ

仏前に納める。


この写経は

永遠に

奈良の薬師寺に納められるという…。


ありがたい。



写経の時間は

自分に向き合うというよりも


意識をただただ目の前のことに向けるのみ。

何か悩みがあっても

不安があっても


その時間は

考える隙間もない…


何か頭に浮かんでも

泡のやうに消えていく…


写経が終わっても

しばらくぼーっとしていたが、

意識が戻ってくると、

またここに自分を連れてきたいと

この場に身を置きたいと


強く思った。



あなたもぜひ。



写経の後のお茶会〜。