春はあけぼの 女は美学

春はあけぼの 女は美学

50過ぎた女が感じたこと、考えたことを書いてます

こんにちは。
吉川綴(よしかわつづり)です。



アラカンオンナが、
感じるままに綴るブログです

 

————————————————————

ゴッホを初めて見たのは
SOMPO美術館の「ひまわり」だった。

ガラス越しでも、
その躍動した絵の具のゴツゴツとした
力強いタッチを間近で見ることができて
「ホンモノ」と言うのは、写真で見るのとは
全く違うのだと実感した。

その時、あまりのエネルギーの強さに
吸い寄せられるように
しばらくそこから離れることはできなかった。


そしてまた
ゴッホのエネルギーに触れてきた。
そのエネルギーは、
ひまわりとは全く異なるエネルギーだった。


昨日、
上野の森美術館で開催されている
「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」に行ってきた。


前売りチケットを購入し、

呑気に構えていたら、日時指定をしないと

とてつもなく待たされるという…

いや、日時指定をしていても

入るまでに結構並ぶとか。

写真を撮ることができる「夜のカフェテラス」は

順番待ちの列で休日は30分待つとか


とにかく、

とてつもなく混む、と言うことらしい。


それだけで

人混み苦手で時間指定が嫌いなワタシは

すっかり行く気が失せていたが

チケットも結構なお値段だったので


朝早い時間を指定し、

力を振り絞って美術館に向かったのであった。


果たして…

噂通り、日時指定をしていても、

人が並んでいる。

やれやれと、

9時半指定の列の最後尾に並ぶ。


曇り空で気温もまだ高くないことに感謝しつつ

10分ほど並ぶと

ようやく入り口に。


そして、

展覧会へと…

しかし今回は、

最初から順番に観るワタシではなかった。

数日前に行った友達からの

アドバイスを実行。


少しでも早い時間に

「夜のカフェテラス」の列に並んで、

絵をみて(ほんの数秒だけど)

写真を撮り、

その後に、また最初に戻ってゆっくり観たほうがいいよと。


ずんずんと展示も見ずに

展覧会の最後に展示されている、

「夜のカフェテラス」の元に向かうと

まだそれほど混んでなかった…。

よかった…と思いつつ並ぼうとすると、

係員の方々が

笑顔でとても丁寧に声がけをしながら

対応してくれた。


休日や、平日でも午後になると

とても混んで、きっと文句を言う人も出てくるだろうなぁと思いつつ

それでもきちんと並ぶ日本人特有の真面目さに

ありがたいと思いつつ、

ようやく「夜のカフェテラス」の前へ。


そこには

ひまわりとは違う、優しく輝く星のもとに

カフェや人物が柔らかく描かれていた。


ひまわりが動のエネルギーなら

夜のカフェテラスは静のエネルギー。



でも、そこでじっと見ることは許されず

ほんの数秒、目を凝らし、

ケータイで写真を撮り

その場を離れた。



なんだかもう、

このまま帰ってもいいような気もした。

静かなゴッホのリアルなエネルギーに触れて

満足だった。


そして何より

時間指定で入館する時間に制約があることや

早く「夜のカフェテラス」を見に行かなければ

さらに混むということ、という、

二つの緊張感から解放されて

随分とリラックスし始めていた。


しかし、この人混み…。


いや、でも、せっかくきたのだから

最初から堪能しよう、

我慢できなくなったら会場を出よう


そう思い、最初に戻り、鑑賞を始めた。



この展覧会は

ゴッホの画家としての歩みを

とても丁寧にわかりやすく展示している。


ゴッホの作品だけではなく

ゴッホに影響を与えた画家達の作品も見どころで

印象派の有名どころの画家達の作品

〜ルノアールやモネなど〜も堪能することができ

素晴らしかった。


途中で、

あまりの人混みで

頭と心が飽和状態になりつつ


それでも、ゴッホの作品も素晴らしく


ゴッホの生き様の変遷が

絵画に現れていた。


日の当たらない人たちにも目を向けて

農民などに対して尊厳を保ちつつ

彼らを描いてきた。


後に、モデルを雇うお金もなく

自画像や風景画を描いていたことが

結果として

素晴らしい作品の数々を生み出していく。



芸術家にもっとも力強い表現を与えるのは苦悩


ゴッホはそう手紙に書いている。

言葉にすると言い切れない感情を

絵画で昇華していくのは

芸術家にとっては当然なのだろう。


でも、あの「夜のカフェテラス」には

「苦悩」を感じることは

ワタシにはできなかった。

静かな安らぎのようなものを感じたのだった。


やはり、

あの時に帰らなくてよかった。

ゴッホの世界に少しでも浸ることができた。



とは言っても

こんなふうに反芻できたのは

美術館を出てからで

あの時には、ひといきれのカオスの中

頭と体の飽和状態は続いていた。


それでも辛くなかったのは

アートがワタシの心と体から

いらない「気」のようなものを、少しずつ

抜き続けてくれたからなのかもしれない。


アートを観に行って

飽和状態となり、

そのアートが不要なものを抜いてくれる。

皮肉なものだなぁ。


今年はまだまだ

ゴッホの作品は来日するけれど

その度にワタシは緊張しながらも

パンパンになりながらも

アートに助けてもらうのかもしれない。



大ゴッホ展 夜のカフェテラスは

上野の森美術館にて、8月12日まで。

当日券は朝の9時すぎには売り切れていました。

前売りを買うのがおすすめです。

日時指定もお忘れなく。