~典子の部屋・中(夜)~

 

 

急いでカーテンを閉める典子。

 

典子「………」

 

そのままソファに倒れ込む典子。

 

 

 

~マンション前の道(数日後・夜)~

 

 

コンビニでビールとつまみを買った帰りの竜之介。

大きな荷物を抱え、俯き、トボトボと歩く典子。

 

竜之介「あ……」

典子「……」

 

マンションの前で立ち止まる典子と竜之介。

 

竜之介「あ、どうも……」

典子「(俯いたまま)…」

竜之介「?」

 

顔を上げ、無表情のまま竜之介を見つめる典子。

 

竜之介「……」

 

典子、みるみる泣き顔になっていき、

 

典子「うわあああぁぁぁ~~~~んっっ!!!」

 

と、まるで子供のように人目も気にせず大号泣する。

 

竜之介「え?ちょっ!?なんで? えっ!?」

典子「もぉ、やぁ~だあぁぁぁぁ~っっ!!」

竜之介「えっ、何!? ねえ、ちょっと!!」

 

オロオロする竜之介。

 

~近所の公園(夜)~

 

缶ビールを一気飲みする典子。

 

典子「ぷはぁ~っ!」

 

典子が缶を握り潰して竜之介に渡すと、新しいビールを典子に渡す竜之介。

二人の足元には空の缶が並んでいる。

 

竜之介「お見合いねぇ、今どき、あんだね」

典子「田舎はね、仕方ないでしょバカにすんな!」

竜之介「バカにしてねーし」

 

典子「……ねぇ、酷くない? 酷過ぎない?」

竜之介「だから、その、君に何が起きて何がどうなって何を言われてそんな傷付いて、そして今、俺が買った酒を浴びるように飲まなきゃ居られなくなったその理由を、まだ君は俺に話してないからね」

典子「? 話してませんでしたっけ?」

竜之介「うん」

典子「……」

 

竜之介「いいよ」

典子「?」

竜之介「話さなくて良い。そんだけ、嫌な思いをしたんでしょ?」

 

典子「(涙が滲んで頷いて)情けなくなっちゃって」

竜之介「そんな思いすること、もう行くなよ」

典子「実家は嫌いじゃないですよ。母は、今回、毎回? ちょっとお節介が過ぎますけど」

竜之介「星空、どうだった?」

典子「あ! そうだ! そうじゃん!……見てません。だって、普通のことだし」

竜之介「もったいな」

典子「普通だし……思い出したら無性に見たくなってきた! ウィックシ!」

 

竜之介は上着を脱いで、典子の背中にかけてやる。

 

典子「……寒くないんですか?」

竜之介「…寒いだろ?」

典子「……帰りましょうか」

竜之介「…もう、気が済んだ?」

典子「はい。ありがとうございました。あ、今度、お金払います」

竜之介「……」

 

立ち上がり、空き缶をコンビニ袋に入れる典子。

上着を脱いで竜之介に返そうとするが、受け取らない竜之介。

 

竜之介「部屋であったまるまで、着てて良いから」

典子「……ありがとうございます。」

竜之介「行こ」

典子「はい」

 

歩き出す二人。

 

典子「今日はほんと、ありがとうございました」

竜之介「いいから」

典子「これはほんとうに言わせてください。ありがとうございました」

竜之介「(笑って)お役に立ててよかったです」

 

 

 

~マンション・竜之介の部屋・中(朝)~

 

典子が目を覚ます。

 

典子「……ん?……」

 

そこは竜之介のタトゥスタジオであり、薄暗い室内は記憶が曖昧な典子からしてみると異様な光景に見える。

 

典子「!?!?」

 

 

 

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