~典子の部屋~

 

チン♪と電子レンジが鳴り、典子が取り出したコンビニの親子丼は容器が凹んでいる。

 

具が片寄り、中身がグチャグチャになったコンビニの親子丼を黙々と食べる典子。

スマホで「いかつい」を調べる典子。

 

典子「……ごつごつしていて、いかめしい。いかめしい?……やわらかみがなく、強そう……。確かに…」

 

 

 

~オフィス・中(翌日・午前中)~

 

活気に溢れたオフィスの端、パソコンに向かって淡々と仕事をしている典子。

女子社員はみなキラキラ女子で、典子は浮いている。

 

典子(心情)「山と川と田んぼしか無いド田舎からノコノコ出て来て、WEB広告の会社に就職しららそこはキラキラ女子の巣窟だった。(キラキラ女子を見つめ)あんたら、面接の時はめっちゃ地味なお仲間と思わせといて、からのキャラ変は不意打ちです、ズルいです。近寄り難し、話しかけ難し。キラキラがいかつい」

 

 

✕   ✕   ✕   ✕(昼)

 

社外ランチへ向かう社員たち。

典子はカバンからお弁当を取り出し、一人、冷凍食品のおかずと冷や飯を黙々と食べる。

 

典子(心情)「実家から送られて来た新米は、冷めても粒が立って輝いて、私はお弁当箱の中だけキラキラ女子です。冷凍の唐揚げって最近レベル高いのな。冷凍餃子も……うま」

 

イヤホンをして、スマホでユーチューブを再生する典子。

俯いて周囲から笑顔を隠す典子。

 

典子(心情)「笑うと脳が自動的に幸せを感じて、長生き出来るらしいから。同僚とランチしなくても、私はキラ女子の3倍笑って3倍長生きしてやる。恋もキラキラも無理、一人で気楽な地味で善きかな善きかな」

 

 

 

~マンション・廊下から玄関前(夜)~

 

 

若くてキレイで色っぽい女性が、内腿を押さえながら竜之介の部屋から出て来る。

 

女性「……ぃたた」

典子「!……」

 

ちょうどドアを開けようとしていた会社帰りの典子が立ち尽くす。

 

竜之介の声「大丈夫?」

 

出てきた竜之介は昨日より肌の露出が多い。

 

女性「初めてだったから」

竜之介「そっか……肌、柔らかいもんね」

女性「うん、デニムが擦れて……」

 

竜之介「ジャージ、あったと思うけど、貸す?」

女性「うんん、大丈夫、ありがと」

竜之介「休んで行けば?」

女性「甘えたいけど……大丈夫そう」

竜之介「なんかあったら速攻LINEして」

女性「ありがと」

 

歩き出す女性と、典子に気が付く竜之介。

 

竜之介「あ、ども」

典子「……どうも」

 

 

 

 

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アベマオリジナルドラマ「私が獣になった夜」を小説仕立てで掲載:宝石:

 

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