春の部屋・狭いベランダ (夜)

 

春、ぼーっと煙草を吸いながら缶酎ハイを飲んでいる。

 

春 「……」

 

と、コンコンと玄関ドアを叩く音。

 

瞬の声「春~、買ってきたぞ~、寒いから開けろー」

春 「あ、そっか……」

 

と言うも、動かない春。

瞬の声「おい、開けないと大声出すぞー! はっるーーーっ!」

 

春、観念したのか、咥え煙草で玄関へ。

 

 同・室内~狭いベランダ (夜)

 

文庫本が雑然と平積みされた女の子感の薄い部屋。

春、瞬を入れると、顔をあまり見られたくないのか、すぐにベランダへと向かう。

 

瞬 「お邪魔しまーす」

 

と、コンビニ袋片手に入ってくる瞬、ベランダで煙草を吸い、缶酎ハイを飲んでいる春を見つめる。

 

瞬 「この寒いのにベランダで煙草吸って、チューハイって……」

春 「おっさんみたい?」

 

瞬 「キレイ」

春 「は? やっぱおかしいね瞬は」

瞬 「中入れよ、風邪ひくぞ」

春 「ベランダがいい」

 

瞬、渋々、ベランダへ。

 

瞬 「寒っ……はい、これ」

 

コンビニ袋から、クレームブリュレを二つ取り出し、一つを春へ。

 

春 「ありがと。上のカリカリちょーだいね」

瞬 「いや、それ一番大事なとこだから。あげるわけないし」

春 「はいはい」

瞬 「カリカリ無くしたら、もうそれグズグズのプリンだし」

春 「分かったって、しつこいな」

 

と、煙草を消し、食べ始める春。瞬、春をじっと見つめて、

 

瞬 「春、泣いただろ?」

 

 

春 「は? なんで?」

 

 

 

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アベマオリジナルドラマ「私が獣になった夜」を小説仕立てで掲載


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▼ドラマ『私が獣になった夜-名前のない関係- #6 『元カレとの夜、ズルくなった私』本編はこちらから

 

 



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