蒼 汰「じゃ、ごめん。先行くわ。ご祝儀、期待してるから!」
と、つむぎと直生を残し、足早に去っていく蒼汰。
つむぎ「ばいばーい」
直 生「つむぎ、何線?」
つむぎ「せっかくだし、もう一軒、行かない?」
直 生「え……」
つむぎ「あ、明日早い? だったら全然───」
直 生「俺、店よく分かんねーよ?」
つむぎ「適当でいいんじゃない? 私と直生だし」
直 生「そっか……そうだな」
微笑み合うつむぎと直生。
適当な飲み屋を探しながら歩くつむぎと直生。
直 生「ラーメン食うほど腹減ってないしなぁ……でもちょっとは食いたいよなぁ……」
一生懸命、二軒目を探す直生を見て微笑むつむぎ。
つむぎ「あ」
と、つむぎ、思い出したようにパンツのポケットに手を突っ込み、
つむぎ「直生、これ食べる?」
直 生「ん?」
つむぎの手には個包装された小さなクッキーやビスケットがある。
つむぎ「今、ちょっとは食いたいって……あ、お菓子、嫌い?」
直 生「いや……」
つむぎ「引いた? 保育園だから、おやつの時間があって、その残りなんだよね……」
直 生「……」
つむぎ「ごめん、完全に引いてるよね? ポケット入れっぱだし……こんなの嬉しくないか」
直 生「いや、嬉しい」
直生、つむぎの手からクッキーを取り、口に入れる。
つむぎ「そう?」
直 生「うん。つむぎが、保育士さんになったんだなぁって」
つむぎ「知ってたでしょ」
直 生「そうだけど……つむぎ、夢叶えたんだなぁって。凄いよ。ご馳走様」
顔いっぱいに微笑む直生。
思わず見とれるつむぎ。
つむぎ「……ねえ、直生」
直 生「ん?」
つむぎ「私、老けた?」
直 生「は? 可愛いけど」
つむぎ「え?」
直 生「あ、いや違う、普通、普通!」
つむぎ、直生を見つめる。
直生、つむぎから慌てて目を逸らす。
つむぎ、直生から目が離せない。
(何かがチャージされた気がした。)
直 生「て言うか探せよ店。つむぎがはしごするって言ったんだろ」
つむぎ「分かった、探すよ」
つむぎ、スマホで店を検索し始める。
と、前から来た自転車に気づかないつむぎを引き寄せる直生。
つむぎ「え? あ……ごめん」
直生、ハッとしてつむぎから手を離す。
直 生「危ないからやめろ」
つむぎ「うん……」
つむぎ、思わず直生を見つめてしまう。
直 生「何だよ」
つむぎ「だって……」
直 生「もう! 何だよ……何でそんな顔すんだよ……」
つむぎ「……?」
直 生「……つむぎのせいだからな、亜紀と別れたの」
つむぎ「いきなり何?」
直 生「つむぎに嫉妬したんだよ」
つむぎ「だから、何で今更そんなこと」
直 生「つむぎが悪いから。あれ以来、彼女いないの、つむぎのせいだと思う……つむぎが絶対悪い」
つむぎ「……」
(直生は昔から、私をお前とは呼ばなかった。)
直 生「あーーーっ、ごめん……俺、変だ。今日は帰るわ」
と、去ろうとする直生。
(もっとチャージして欲しい。)
つむぎ、衝動的に直生と腕を組む。
直 生「!」
つむぎ、驚く直生を見つめる。
直生、つむぎから目が離せない。
つむぎ、直生と腕を組んだまま歩き出す。
直 生「え? つむぎ……?」
直生、もうつむぎを拒まない。
と、つむぎがホテルの前で立ち止まる。
直 生「?」
つむぎ、直生の肩に腕を回し、
つむぎ「下見付き合えよ、な」
直 生「はぁぁぁ?」
呆然としていた直生、真顔になり、
直 生「つむぎ……彼氏は?」
つむぎ「……いないよ」
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