待ち合わせに向かうつむぎ、足を止める。
視線の先には、スーツ姿の直生(27)が立っている。
つむぎ「(ドキッとして)……」
直生、つむぎに気づき、
直 生「お……つむぎ!」
つむぎ「直生、久しぶりー!」
と、当然のようにハグしようとするつむぎ。
直 生「やめろ、そういうの……」
つむぎ「?」
見ると、直生は照れ臭そうな顔をしている。
つむぎ「え? 私だよ?」
直 生「分かってるよ……」
つむぎ「何それ」
と、蒼汰(27)がやって来て、
蒼 汰 「わりぃ、遅くなった……おっ! 二人とも大人になってる」
直 生「そりゃそうだろ」
蒼 汰「五年……ぶりとか?」
つむぎ「もう……そんななんだぁ」
直 生「ほら行くぞ」
三人、中へ入って行く。
何杯目かのビールを飲んでいる三人。
蒼汰、鞄から封筒を出し、二人それぞれに渡す。
つむぎ「ん? 何? お金くれんの?」
直生、封筒を開け、
直 生「!」
つむぎ「何びっくりして……(中を開け)え? 嘘!」
封筒の中身は披露宴の招待状。
蒼 汰「一年くらい付き合った職場の後輩なんだけど……ま、そういうことになりましたんで……」
つむぎ「……まさか蒼汰がねぇ」
直 生「結婚願望なかったろ?」
蒼 汰「うん、なかったねー。でもちいちゃんとは、ずっと一緒にいたいんだよね」
つむぎ「こんな変わる?」
直 生「変わるんだなぁ……おめでとう」
直生、蒼汰にハグをする。
蒼 汰「ありがとう」
その流れで、つむぎも両手を開き、蒼汰を待つ。
直 生「おい……」
蒼汰、直生とするように、つむぎとハグをする。
直 生「……」
つむぎ「おめでとう」
蒼 汰「ありがとう……というわけで良かったら、って言うか、絶対来いよ。紹介したいし」
つむぎ「行くよ、そりゃ。ね、直生?」
直生、しっかり頷く。
蒼 汰「ありがと……で? 二人は? ないの結婚?」
つむぎ「……まだないかなぁ」
直 生「あったら言ってるよ」
蒼 汰「だよな。あ、つむぎの職場の人とかいいんじゃない?」
つむぎ「ん?」
蒼 汰「保育士さんとか絶対いいじゃん。直生、紹介してもらえよ」
直 生「いや、いいよ」
つむぎ「言ってくれたら紹介するよ。若い子いっぱいいるし」
蒼 汰「俺が一人だったら迷わず行くね」
直 生「ばか、蒼汰。奥さん泣かすなよ」
蒼 汰「冗談だよ……ほんっとお前は昔から……」
蒼汰、直生からつむぎに視線を移し、
蒼 汰「つむぎも、もうちょっと女らしかったらなぁ……俺、絶対好きになってた、学生の時」
つむぎ「いや、こっちにも選ぶ権利あるから」
蒼 汰「スカートとかはけよ、たまには」
つむぎ「すーすーするから」
蒼 汰「何だよそれ、ガキか」
つむぎ「どう思われてもいいよ、蒼汰だし」
蒼 汰「俺はね、心配してんだよ。少年みたいなつむぎが、いつ女になるのか。なぁ直生」
直生、深く頷く。
つむぎ「ほんっとさーーー、昔から……もう分かった! 私、脱ぐよ! 脱ぐ!」
直 生「! おいおいおい、やめろ、つむぎ! バカ!」
つむぎ、真剣な直生の顔を見て、吹き出し、
つむぎ「ほんとに脱ぐわけないじゃん!」
直 生「え?」
蒼 汰「いや、コイツが脱いだところでしれてんだろ」
つむぎ「はぁぁぁ?」
蒼 汰「うそうそうそ! つむぎは、その感じがいいんだよ。はい、かんぱーい!」
蒼汰に流され、乾杯するつむぎと直生。
酔ったつむぎ、心底楽しそうな表情だ。
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