眠れない秋の夜は、
闇がいつもより深く感じられる。

手を伸ばせば底が知れないようで、
うっかりとつかまってしまいそうで、
慌てて灯りをつける。

誰かにコールするには
遅すぎる…。

そんな間の悪さに舌打ちをして、
ほんの少しのアルコールと煙草の煙で
夜をやり過ごす。

喉元を過ぎる熱い液体は
慣れ親しんだ友人。

ゆっくりと身体を満たしながら
夜の闇もまた溶かし込んでゆく。
ゆらゆらと揺れながら
一緒に溶けてしまえるなら、
夜の闇さえ私には友人。

ゆらゆら、ゆらゆら…。

煙草の煙が
静寂に吸い込まれるのを眺めつつ、
まぶたに落ちる夜を感じている。