…って、感じです、はい。笑。
ポップでキッチュな感覚いっぱいのアメリカンコミック風のデザインに「ハイパーテンション・ラブ・コメディ!!」の文字が踊るチラシのイメージそのまんま。舞台はのっけからテンションが高くって、ホント気持ちいいくらいぶっ飛ばしてくれる。どちらかというと「ラブ」は少ないけれどね。ま、それはそれでいいのだ。おもしろいから。笑。

主人公は自称モテ男の敏腕刑事。つぎからつぎへと女を取り替える様子がトランプのシャッフルを思わせるところから、そのまんま”Shuffle”のニックネームで呼ばれている。もっとも本人は天然記念物級のお調子者。賞状の数がシャッフルできるくらい多いからだろうと、ニヤけていたりするのだが。そんなShuffleがある事件を追う途中、銃で撃たれて高いところからまっ逆さま。その衝撃で脳内視力がいかれてしまった。まさしくシャッフルのごとく、彼の頭の中の人物を認識する記憶がごちゃまぜに。同僚が上司に、上司が犯人に、犯人が憧れの見えてしまうから大変!強盗団に復讐を誓う元警備員や、Shuffleの命を狙う元恋人、憧れのひと石野真子まで巻き込んで、事件はドタバタの騒動に展開してゆく。

機関銃のごとくはじき出される言葉のおもしろさ。個性的な登場人物たちの微妙なズレ感と、絶妙なかけ合いが生みだす滑稽さ。場面転換の早さと舞台全体の見せ方は、ちょっと映像に近い感じだ。それも、アメリカンコミックのアニメーションのやつ。出演者たちもみなデフォルメされた登場人物たちを思い切りよく演じていて、そのつきぬけた感じが全体のアメコミ風の世界にうまい具合にハマっている。たとえば、主人公を演じる伊原剛志が長い脚を振り回しながら(ホントに振り回してた!)派手なポーズを決めると、どんどん現実離れしてコミックの世界に近づいて行くみたいな。そんなこってりめのおかしさ、おもしろさを軽快なジャズでテンポよくまわし、おしゃれなアメコミ風に仕上げてしまう、後藤ひろひとのセンスの良さにただただ驚かされ、引き込まれてしまった。

シャッフルされた登場人物たちがお互いをまねて演技をしたり(うまくいくとここで場内から歓声が…!)、後藤ひろひとが茶目っ気たっぷりヒゲをぴくぴくさせたりお尻を振ったりしながら、ちょこちょこ登場するところなど遊び心がいっぱい。場内は、稽古場の雰囲気の良さまで見えるような、あったかい空気と笑いに包まれた。私もおおいに笑ったけれど、周囲の座席のひとが思わず声を上げて慌てる様子や、舞台に反応してピクっと動いてしまうそんな気配までちゃんと感じられる舞台は久しぶり。舞台のライブ感ってこれだよなぁってニンマリ、サイコーにたのしい130分だった。

〈2005年4月16日(土)~5月8日(日)パルコ劇場 にて公演/
 その後、名古屋・新潟・仙台・福岡・大阪へ〉

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「Shuffle」

【作品データ】
staff*
作・演出・出演:後藤ひろひと
製作:伊東勇(パルコ)
cast*
伊原剛志/奥菜恵/山内圭哉/三上市朗/風花舞/平田敦子/松谷賢示/澤田育子/石野真子/鹿内孝 

【作品情報】(パルコ劇場)
http://www.parco-play.com/web/page/information/shuffle/
【Piper公式サイト】
http://www.piper-z.com/indexpc.htm

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