弁護士に相談するのは、初めてでした。

当然、相談するなら信頼できる弁護士さんに相談したいのですが、では、どうやって信頼できる弁護士さんを見つければ良いかとなると分かりません。

悩みつつ弁護士ドットコムで近隣の弁護士を探したりもしたのですが、SNSで信頼できる弁護士さんを紹介してくれる人がいないか問いかけたところ、たまたま知り合いの弁護士さんを紹介してくれる友人がいて、渡りを付けてくれました。

持つべきものは友、ですね。

日程の調整も、初回の顔合わせの場のセッティングも、友人が全て整えてくれました。

本当に、ありがたい限りです。


初回の顔合わせでは、これまでの経緯と状況の整理をし、それから対応方針の検討をしました。

私から弁護士さんへこれまでの経緯と状況を説明したのですが、事前に大まかな話を友人から弁護士さんへ伝えておいてくれたこともあり、とてもスムーズにいきました。

それに、やっぱり弁護士さんは頭の回転が速い!

こちらが話す1の内容から10くらい汲み取ってくれますし、返しの質問もいちいち的を射ていて会話がポンポン進みます。

私は、BESS富士を相手にした糠に釘を打つ様なやりとりにとても疲れていたので、その快調なテンポはとても心地良いものでした。


調子良く現状整理を終えて方針の検討に入ったのですが、これは少し難しかったです。

検討をし尽して出した結論は、『当面は穏便にいこう』というものです。

どういう形で事態を収拾するかすら定まっていない現状では、無暗に対立を深めることは好ましくないだろう、という弁護士さんの提案を私が受け入れての結果です。

正直、私はBESSに対して並々ならぬ憤りを感じていたので、甚だ不本意でしたが、仕方がありません。


争うのであれば、まずは落としどころを探って着地点が定まってから。

もちろん、争わずに穏便に事が進んで決着すれば良いのですが、BESS富士のこれまでの対応を見てきても、それはまず無いでしょうし、私はその時までは臥薪嘗胆の思いを内に秘めておくことに決めました。

何よりもまずは、着地点を探らなければ。


最も良い着地点は、『全て無かったことにしてリセット』です。

私的には、この時点でもう『BESSが建てた家なんて住みたくない』という気持ちになっていました。

それは、妻も同意見です。

ですから、契約解除で支払い済みの代金を回収し、新たにハウスメーカー選びからやり直せるのなら、それが一番良いのです。

ですが、それは契約上、BESSに過失があったとしても簡単にいく話ではない、という弁護士さんの見解でした。

やるとなれば十中八九裁判になる訳ですが、そこを争点となると流石に相手も強く抵抗してくることが予想されるため、かなりの長期戦になると思われます。

 

そうなると、経済的にも精神的にも時間的にも、負担が大きくなります。

となれば、より時間をかけずに、実現可能な落としどころを探す方が賢明です。

 

裁判まで行くことになったとしても、より勝率が高く、有利に持っていけるところへ争点をもっていくのが良いのです。


ですが、その落としどころを見つけようとしても、状況はかなり厳しいものでした。

このままだと時間切れで引き渡しになり、近隣の方々の反感を一身に浴びながら、最悪の新生活をスタートすることになります。

それを回避するには河川への放流が必要ですが、それは物理的にも技術的にも無理だとBESSは言っていて、工事をするには行政に特例を認めてもらう必要がありますが、実現性は薄いでしょう。

河川への放流が出来ないのなら、近隣の方々に説明して理解を得る方へ動くしかないのですが、表面上はそれで同意してもらえたとしても、深部で感情的に禍根が残るのは必至です。

この状況を、どこにどう持っていくべきか。


「まずは、一つ一つ潰していきましょう。」

弁護士さんの提案で、とりあえず河川へ放流するための追加工事をした場合の見積もりを取ることになりました。

場合によっては、BESSを外して、他の業者に話を持って行って工事をするという方法もあり得るかもしれない、という判断からです。


私はBESS富士の担当営業に、弁護士をたてて今後進めていくことを伝えた上で、河川放流の追加工事の見積もりを求めました。

数日の後、見積もりが出たのですが、見積もりの送られて来たメールの文面には、今まで聞かされてきた説明とは異なる内容がしれっと書かれていました。

 

>>前の話

>>次の話