朝焼けの静けさの中爽やかな音楽が鳴り響く
朝6時の音楽だ。市町村によってメロディーは様々だが大抵の所では6時の音楽が鳴る。
そしてサクラマスへの短くも長い1日が始まる。
皆思い思いにキャストを繰り返しどんどん時間が過ぎ去る。途中休憩を挟む者、朝だけ打って仕事に行く者、黙々とキャストを繰り返す者。
そこには様々な思いがある。
ひたすらにサクラマスを狙っているとき何を考えているのだろうか。私は次のキャストのポイントや、あるいはサクラマスの着きそうな場所、頭の中はサクラマスでいっぱいである。
そんな事を知ってか知らずか奴らは一向に釣れない。釣れないはおろかアタリすらもない。無の時間だ。でも不思議とサクラマス釣りは『無』が許される唯一の釣りだ。
私の場合、旧北上川8・追波川2くらいの割合で通っている。やはり追波川は人気のスポットだけあって人の数が半端では無い。それゆえに早朝からの場所とりも大変だ。猛者は4時前から場所に入っている。私は前日の仕事もあるのでせいぜい早くても5時過ぎくらいにしか場所へ入れない。それでは遅いのだ。それに人が多いと言うことはキャストするコースも限られている。ほぼ目の前にキャストする他無い。
やはりそうなってくると旧北上川の自由度は高い。
河川も広ければポイントも多々あり、自分だけのポイントも見つけられる。しかし遡上の数で言えば追波川には敵わない。解禁時の遡上の早さのみで言えば旧北上川は早めにつれるが、個体数が圧倒的に少ない。それゆえに釣るのが難しい。
追波川と旧北上川。河川の長さで言えば河口から堰まで追波川は短い。つまりポイント数も少ない。
難しいと聞くと私はなぜか躍起になり旧北上川でサクラマスを釣りたいと思うようになった。
しかし釣れない。暇があれば通っているのだかお決まりの『無』である。今のところ追波川では40本強、旧北上川では10数本しか上がってない。
その10数本の内の1本を獲りたいのである。
様々な戦略を立てあらゆるポイントへ行く、キャストを繰り返すが全くの無。
こうなってくると意地でも旧北上川で釣りたくなってくる。釣り人とは不思議なものだ。
仕事柄、平日には釣りに行けないので週末のみで今のところ釣行回数は8回程度。しかし上手いアングラーは2~3回の釣行であっさりと釣ってしまう。
その時程自分の下手くそさに嫌気がさすことはない。
日々の積み重ねが釣りを上手くすると私は思う。
やはりどの場所もどの釣りも通っている人には勝てない。その川、その海に通い、年数を重ねて釣りを熟成させる。とても気の長い事だがそれがサクラマスへの近道だ。そう自分に言い聞かせまた来週も旧北上川へ通う…
