元号「令和」にも使われている「和」という字についてです。
聖徳太子の『十七条憲法』第1条にある、
「和を以て貴しとなす」
を思い浮かべる人は多いでしょう。
この憲法は、今日のものとは違い、官僚や貴族に対する道徳的な規範が示されており、行政法としての性格が強いものです。
その冒頭に「和」が出ているのです。
この「和」は、そのまま「わ」ではなく、「やわらかなること」と読むべきだといわれています。
即ち、
「わをもって、貴しとなす」
ではなく、
「やわらかなることを以て、貴しとなす」
と読むのです。
「やわらかなる」は、「やわらぐ」ことです。
「やわらぐ」とは、穏やかになるとか、堅苦しさやとげとげしさがなくなる、なごやかになるということです。
我が身が、頑なになることなく、しなやかな心を持って人と接していく生き方が、尊ばれるのでしょう。