最近、「オーラルフレイル」という考え方が注目されています。
 
直訳すると、「口を使って行うことの虚弱化」ということですね。
 
加齢などの影響で、歯や舌などの機能も衰えていき、食べこぼしやむせることが増えるといったささいなトラブルを、全身の衰えのサインととらえるのです。
 
口の衰えが、要介護の始まり、いわば「人は口から老いる」との考え方です。
 
歯だけではなく、下や口の周りの筋肉の衰えにより、かたいものを避け、やわらかい食べ物を選びがちになり、結果的に栄養が偏る。
 
かむ機能はどんどん落ち、食べられるものがますます減り、食欲や体力が低下し、低栄養や筋力の低下、ひいては要介護状態になりやすくなるのです。
 
誰もがそうなるのですが、進行を遅めるために、日頃から気を付けなければならないことがあります。
 
専門家は、
 
「食事の際は、意識してかたいものも食べ、なるべく奥歯でかむことが大切」
 
と指摘します。
 
かたいものを食べることで、口まわりの筋肉も鍛えられるからです。
 
「家族や友人と会話を楽しみ、口を動かす機会を増やすとよい」
 
とも言います。
 
1人で食べるより、誰かと食卓を囲むほうが、会話で口をより動かすので効果的です。
 
カラオケで歌うのも、口を大きく動かすことにつながり、おすすめということです。
 
厚生労働省と日本歯科医師会は、80歳で20本以上の歯を保ち、何でもかんで食べられることを目指して「8020運動」を推進してきています。
 
年をとれば孤立しがちですが、積極的に人の中に入り、人と集うことが大切なのです。