
第56回芥川賞受賞作「しんせかい」山下澄人著を読みました。
著者の富良野塾2期生という体験を小説にした作品です。
富良野塾は、言うまでもなく「北の国から」の倉本聰主宰の俳優・脚本家の養成塾ですね。
富良野塾とは何なのかということは読んでいて、ああ、そうなんだって分かります。
しかし、集団生活をしていると必ず起こる人と人との確執とか、悩みや機微とかがまったなくて、さらっと表現されているのが物足りなさを感じてしまいます。
語彙の豊富さもまったくありません。
今回の候補作には、この作品を上回る作品がなかったということでしょうか。
知人が言っていた、
「日本では、川端康成以降、作家としての文学者が出ていない」
と言う言葉が思い出されます。