
散歩をしていると、目の前を下から上に蜘蛛が横切った。(・・・んっ、縦切った?)
見ると、高い屋根の軒先から糸を垂れていたのだ。
じいっと空中に静止した蜘蛛を見上げていると何だか、『蜘蛛の糸』のカンダタの気分になった。
どんどん空まで登って生けそうな気になった。
そして、真っ逆さまに落ちてしまいそうだと思った。
写真は、蜘蛛と雲です。
註)芥川龍之介著『蜘蛛の糸』あらすじ
お釈迦様は、地獄にいるカンダタを助けようと天から蜘蛛の糸を垂らした。
それを見たカンダタは、
「この糸を登れば地獄から出られる」
と考え、糸につかまって昇り始めた。
ところが途中でふと下を見下ろすと、数多の罪人達が自分の下から続いてくる。
このままでは重みで糸が切れるだろう。
カンダタは「この蜘蛛の糸は俺のものだ。下りろ」と喚いた。
とたんに、蜘蛛の糸がカンダタの所から切れ、彼は再び地獄の底に堕ちてしまった。