1匹のカメレオンが嘆いていました。
 
オウムは緑色、ブタは桃色、金魚は赤。
 
動物はみんなそれぞれの色を持っている。
 
それなのに僕には「自分の色がない」。
 
カメレオンは、周りの色に合わせ体の色がころころ変わる。
 
葉っぱの上にいると緑。
 
ところが秋の紅葉の季節を迎えると赤になり、自分の色が持てない。
 
ある日、カメレオンは別のカメレオンに出会います。
 
話してみると、彼もまた同じことで悩んでいました。
 
悲しみを共有した安心感からか、彼はこんな提案を口にします。
 
「僕ら、一緒に暮らしてみないか」
 
こうして二匹は一緒に行動をともにします。
 
でも行く先々で色は変わります。
 
ある時は一緒に黄色になり、ある時は緑になり、そして紫になりと。
 
「だけど君と僕はいつもおんなじ」。
 
二匹はとても嬉しかった。
 
 
(絵本より)