
今月10日発売の雑誌「文藝春秋」5月号に、
“神戸少年A「家裁判決」全文公”
と題して、神戸連続児童殺傷事件の家裁審判「決定(判決)」の全文が掲載されていた。
1997年2月に起きた神戸連続児童殺傷事件の犯人・少年Aに対し、神戸家裁は医療少年院送致を決定した。
その審判決定に際した当時の担当裁判官が、退職後の今日、自分が持っていたものをゴシップ誌に公表したのである。
神戸家庭裁判所は、
「審判の信頼を損なう」
として、文芸春秋や全文を提供した元裁判官の井垣康弘弁護士、記事を書いた佐々木央共同通信編集委員らに文書で抗議をしている。
気になって読んでみると、元裁判官の井垣康弘弁護士は、
「元少年の育成歴を知ることは、『事件を2度と起こさぬためにはどうすればよいか』を考えるきっかけにもなる」
と述べている。
しかし、記事を書いた編集委員のスクープを願った思いと、元裁判官個人の悔恨、出版社の軽率な判断によるものとしか思えない。
全て、大義という名の下のエゴにしか過ぎない。
少年はおろか、被害者を含めた関係者の心を踏みにじる行為である。
被害者の父親土師守さんは、
「この事件は経緯が特殊で、教訓になる部分は多くないと思う。
遺族への配慮がない掲載で信じがたい。
興味本位で読まれるのはつらい」
と語っている。
事実、私も興味本位で読んでしまっていた。(・・・恥ずかしい)
情報が氾濫している現代、たとえ真実であっても、知りたくない情報や、知らなくてもいい情報は有ると思う。