
「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」奥田 英朗著(共に、文春文庫)
直木賞受賞作品『空中ブランコ』を含めた作品である。
心身症の患者達と、診察する神経科医の連作短編集2冊だ。
「インザプール」では、
プール依存症のサラリーマン。
陰茎強直症の離婚男性。
被害妄想のコンパニオン。
ケータイ依存症の高校生。
強迫神経症(確認行動)のルポライター。
「空中ブランコ」では、
跳べなくなったサーカスのブランコ乗り。
尖端恐怖症のヤクザ。
強迫神経症の医者。
スローイングが出来なくなった一流プロ野球選手。
嘔吐症の売れっ子女流作家。
こういった心身症の患者を診察するのが、セクシーな看護師(婦)を従え、黄緑色のポルシェに乗った、総合病院の御曹司、色白でデブの医学博士伊良部一郎神経科医だ。
複雑な現代社会の病巣をモチーフにして、ユーモアの中に心身症の本質、そして人生の真実にふれたような感動をおぼえた。
反面、人間の内面世界は、もっと奇怪で難解なものではないとも思わされた。
ともあれ、軽い鬱かなって心配になってる方には、特にお薦めです。
? Have a nice life ?