『かもめのジョナサンー完全版』リチャード・バック著を読んだ。
1970年に出版された同書は、体制から逸脱し、自分にとって出来ないことは何か、出来ることは何かを求めて、究極のステージまで上り詰めたカモメのジョナサンの話である。
当時、アメリカ西海岸のピッピー達に読まれ、その波は世界へと広がっていった。
いわゆる、反体制、自分探しを求めている若者達に共感を与えたのだ。
当然、若き日の私も読んだ。
そして、40年経って第3章までだったものに、新たに第4章(最終章)を含めた完成版が出版されたのである。
第4章では、カリスマ化されたジョナサンが姿を消し、その教えだけが受け継がれる中で、存在が伝説化、神格化されていく様子が描かれてある。
そして、教えが徐々に形骸化していく中で、新たな若いカモメが再び飛行実験を始めていくのである。
私はこの最終章を読んでいて、仏教でいう三時を思い浮かべていた。
釈迦入滅(死)後1000年間を正法時代といい、次の1000年間を像法時代といい、仏滅後2000年経過した時(日本では、1052年)から10000年をに末法時代という。
即ち、正法とは、正しく仏道が実践され、悟りを開く者もいる時代をいう。
像法とは、形式的に仏教が継承されている時代をいう。
そして末法は、抜け殻だけしか残っていないという時代という。
仏教に於いて、釈尊の入滅(死)後、時代を経るにしたがって、仏教が衰退し、出家者も堕落していくとする考え方だ。
ちなみに、世も末だというのは、ここから来ている。
『かもめのジョナサンー完全版』五木寛之創訳
短くて一気読みできますので、我が業界の諸氏方、是非、一読あれ!