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629日に新宿駅南口の歩道橋で、5060代と見られるスーツ姿の男性が、拡声器で約1時間にわたり、安倍内閣の集団自衛権の行使容認に抗議する演説を行った。
 
演説後、ペットボトルに入っていた液体を自らの体にかけてライターで火を着け、焼身自殺を図ったという事件があった。
 
 
 
真っ先に思い出したのが、ベトナム仏教僧ティック・クアン・ドック師の事である。
 
1963611日、ベトナム戦争下の首都サイゴンに於いて、戦争反対と宗教の自由を求めた大勢によるデモが行なわれていた。
 
その時、1台のオースチンがデモの先頭に出て交差点で止まった。
 
中から73歳の師が降り、交差点の真ん中に静かに座った。
 
弟子らしき2人がポロ容器から液体を師に浴びせた。
 
そして、師は静かにマッチを擦った。
 
師は燃え上がる炎の中で約4分間座禅の姿勢を保ったまま絶命した。
 
師が倒れると、人々は一斉に跪(ひざまづ)いて合掌した。
 
あたりはガソリンと人肉の焼ける臭気で満ちていたという。
 
 
師の遺書が残されていた。
 
「私は発願しました。自分の原審を焼いて仏様に捧げ、その功徳によって仏教が永続し、ベトナム全国の平和と国民の安楽が実現しますように・・・・・・南無阿弥陀仏」
 
と。
 
 
 
只今回の事件と違うのは、我が身を犠牲にして思いを提言しただけではなかったということだ。
 
仏道を歩むものとして、民衆の耐え難い苦しみを我が苦しみとするなかで、師は我が身を焼き尽くすしかなかったのだ。(焼身供養)
 
 
仏教は「慈・悲」の宗教である。
 
「悲」とは苦しみを共にすることである。
 
まさに仏道を歩む人であった。
 
 
この事件がきっかけとなって、後に、
 
「エイゲイジド・ブディズム」
 
といわれる、社会問題への積極的関与・参加する、
 
「行動する仏教」
 
が提唱されたのである。
 


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