池波正太郎の「正月四日の客」(角川文庫『にっぽん怪盗伝』所収)を『鬼平犯科帳』番外編としてドラマ化されたものがある。
江戸の小さな蕎麦屋「さなだや」では、毎年、正月四日の日は、信州の田舎蕎麦に辛み大根をしっかり効かせた「真田蕎麦」しか出さない。
江戸の人達の口には合わないので、その日は誰も寄りつかない。
それをわざわざ食べにやって来た客がいる。
それが大店(おおだな)の主人を装った、盗賊・亀の小五郎であった。
彼はそれ以来、毎年正月四日に真田蕎麦を食べにやって来る。
そして、それが為にとうとうお縄になってしまうという話である。
というわけで、私も毎年正月四日には、蕎麦屋で辛み大根蕎麦を食べる事にしている。
しかし今年は何かと忙しかったので、七草がゆの代わりに昨日食べる事になってしまった。
知人と蕎麦屋に入り、
「正月四日の客、二つ」
と言うと、店員のお姉さんは、
「はぁ?何ですかそれ?」
って言うものだから、寂しさをこらえて、
「辛み大根蕎麦、二つお願いします」
と言って注文した。
蕎麦屋なら、それくらい知っておけ・・・ってか!!