
『アーロン収容所』 会田雄次著を読んだ。
保守の論客だった故・会田雄次京大教授が、第二次大戦での捕虜体験を綴ったこの本である。
その中で、英国軍の女性兵士が、捕虜の日本兵の前で恥ずかし気もなく裸になって着替えや化粧をする様子が描かれている。
丁度、私たちがペットの前で裸になったり、恥ずかしげもなく着替えたりするのと同じだ。
彼女たちは、負けた日本兵や植民地の黄色人種をサル程度に考えており、裸を晒(さら)しても羞恥(しゅうち)を感じないというわけだ。
これほどの差別はなかろう。
彼らは、どれほどの屈辱感を味わったことであろうか。
考えてみれば、恥を恥と思わない、恥ずかしいと感じないことほど手に負えないものはないのである。
差別を差別と思わない、差別をしている意識がないほど手に負えないものはないのである。