「手加減」という言葉があります。
 
手心とか、匙(さじ)加減ともいい、状態、状況に応じて臨機応変に対応することですね。
 
 
民俗学者の著書によると、その語源は、
 
「ご飯を炊くときに米や水の量を調整すること」とあります。
 
 
自動炊飯器が世に出る前、主婦はその日の家族の人数や健康状態などに合わせ、茶碗で米を適量すくい、水の量も手のひらを上手に使い適度に調節したのです。
 
 
食生活に限らず、生活全般でも「手加減」「匙加減」は、「心遣い」として行われてきました。
 
ひと昔前の社会では、みんなこうした手加減を心得た人間関係を営んでいたのです。
 
 
最近は、マニュアル化された接客を強いられたり、クレーマーに代表されるように権利ばかりを主張する風潮が強くなってきました。
 
相手を見て「手加減する」事が苦手な人が増えたのだ、ということもいわれています。
 
何事も感情のままヒステリックに振る舞い、いったん行動するとブレーキが利かなくなるそうです。
 
「手加減する」とは相手のことを考えて対応することで、「思いやり」ともいわれます。
 
 
 
言うは易し、行うは難しですが、努力してみる価値はありますよ。