人には、他の人に同情し、いとおしみ、人を慈しみ、大切に思いやることがあります。
しかし、思いどおりに人を助け遂げることは、きわめて困難なことです。
どんなにいとおしい、かわいそうだと思っても、思いどおりに助け通すことが難しいのです。
人が苦しむのを見て、誰でもその苦の軽減を願い、安らかで、楽であって欲しいと希望します。
それは、人情の極みでもあります。
しかし、苦しみが深ければ深いほど、その軽減は容易ではありません。
そして、どうしてもこれ以上は、って言う、限界を感じて、手を引かざるを得ないのが、日常であります。
そういうあきらめ切れない思いになったとき、初めて、人を超えたものを求めざるを得ないのでありましょう。
挫折を経てはじめて見えてくる希望、それこそが、本物とでもいうものなのでしょう。