
「金物屋に並べてある爪きりの中に、ひとつどうしても使い方の分からない不思議なかたちをした物があったので、私はそれを選んでカウンターに持って行った。
のっぺりとした5センチほどの長さのステンレス・スティールの金属片で、どこをどう押さえれば爪が切れるのか想像もつかなかった」
村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の中に出てくる、一生もののヘンケルの爪切りです。

主人公の彼は、それをとてもステキな女性にプレゼントするのです。
「プレゼントって大好き。
ありがとう。
爪切りってすぐにどっかに行っちゃうから、いつもこれをバックの内ポケットに入れとくことにするわ」
困ったとき、必要なときにしか使わないけど、いつもそばにあって欲しいもの(者)。
・・・・・そんな一生もの(者)持っていますか?