
本屋で、「パン屋再襲撃」村上春樹著が目に入った。
「堪えがたいほどの空腹を覚えたある晩、彼女は、もう一度パン屋を襲うのよって言う。
それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来僕にかけられた呪いを解く方法はない。
かくして妻と僕は中古カローラで、午前2時半の東京の街へ繰り出した・・・・。」
と、裏表紙の文章を読んだ。
短編なので、立ち読みで読み終えた。
若い日の経験の残った虚しさだとか、自分の人生を奪われたり損なわれたりしたものからの救済が描かれてある。
読みながら、学生時代の出来事を思い出してしまった。
恥ずかしい話であるが、もう時効であろうから告白します。
学生の時、徹夜で過ごた朝方、空腹を満たそうにも先立つものがなかった。
未だ眠りから覚めない早朝の町に出て行くと、まだシャッターが閉まっている商店街のパン屋(と言ってもパン工場から運ばれてきたパンを店頭で売るというお店であるが)の前に、プラスチックの配送ケースに入ったパンが積まれている。
その中から、好みのパンを数個取り、近くの家の牛乳ボックスから数本の牛乳を取り出してアパートに持ち帰り、よく食べたものである。
今に思えば、若気の至りとはいえ、反省しきりである。