禅の言葉に
 
安禅不必須山水 滅却心頭火自涼 ー安禅は必ずしも山水を須いず 心頭を滅却すれば火も自ずから涼しー」(快川紹喜国師最期の偈)とあります。
 
とは言うものの、中々そういう境地には至りません。
 
 
 
夏になりますと、お茶やお花の先生方が、絽(ろ)や紗(しゃ)の着物をとても涼しげにお召しになっております。
 
 
しかしながら、着ている本人は涼しいのかと言うと、実はそうでもないのです。
 
 
浴衣(ゆかた)と違って着物(お召し)は、着重ねをするので着た時から暑いのです。
 
 
でも、その姿を見ている相手は涼しいと感じるものであります。
 
 
相手を涼しくするという、美的思いやりセンスとでも言いましょうか。
 
 
暑さも、自分一人が避けられれば良いものではありません。
 
 
相手を慈しみ、思いやるこころが、伝統の日本文化と知らされます。