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『陰刻された四肢の祭壇』平成19年作品
 
 
・・・「松井冬子展」のつづき。
 
 
 
彼女の作品と通して彼女の考え方を察するに、あまり共感することは出来ませんが、「腑分(ふわけ)」と題された作品群だけはすごく共感出来ました。
 
 
その作品群の特徴は、グロテスクに見える内臓(臓物)が描かれています。
 
 
彼女は何故、内蔵を露骨に描くのでしょうか。
 
 
人間は、開いたら内蔵が出てくるのだから、真実だから、それをそのまま描くということは、真実を描くことだということのようです。
 
それは、目を背けたくなるほどグロテスクな物であっても、それが人間なのだからです。
 
 
腑分(ふわ)けと呼ばれた人体解剖が江戸時代に行われていました。
 
それは現代の解剖と違って、当時の蘭学者は、人間はどういう組織で成り立っているか、その形態と構造を見極めることにより病気を治そうとしたのです。
 
 
 
人間(自分)を見極めること。
 
人間(自分)の自体に備わった正と負、即ち、美と醜、理性と狂気、健康と病、躁と鬱、善と悪、強と弱、陽と陰、生と死。
 
 
死(負)を諦(あきら)めて生きるのではなく、生(正)を生きるために死(負)を深く想う(見極める)事が非常に重要なのです。
 
 
 
 
今回は、スピリチュアル(内包する精神的)な部分で後を引く展覧会でした。