
台風が近づいているので、今日のゴルフは中止になった。
晴耕雨読、『新・堕落論』 石原慎太郎著を読んだ。
東日本大震災直後、その印象を訊かれ、
「日本人のアイデンティティーは我欲。この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う」と述べたが、後に、被害者を傷つけたと謝罪した。
この発言を訊いたとき、なるほどと、幾ばくか共感した。
人間のおごりも結末が、ついにこういう形で表れたかと思ったことである。
しかし氏は、謝罪はしたものの、その発言の本質はこうなんだと、この本の中でその考えを正当化しているのである。
戦争直後の日本人の変貌を、坂口安吾は、『堕落論』の中で、
「人が変わったのではない。人間は元来そういうものであり、変わったのは世相の上皮だけだ」
と言ったが、今はそうではない。
戦後日本の繁栄は、アメリカの傘下に置かれ、それに追随した為、日本人そのものが変わり、堕落したというのである。
日常茶飯に報道される、想像を絶した事件。
軽薄な性意識。鬱。オタク。ケイタイ、パソコンによる情報過多が起こす無教養な若者達。
体たらくな現代人。
何故そうなったかというと、元を云えば、アメリカから与えられた日本国憲法だと言うのである。
そして、今日の日本人の堕落の根源は、その我欲、即ち金銭欲、性欲、物欲にあるというのである。
戦前、戦中のあの優れた日本人気質を取り戻すには、核保有を主にした自衛隊の軍隊化、労役の義務化(徴兵制)、消費税を含む増税が必要不可欠であると結論づけているのである。
豪放無頼な意見とも聞こえるが、しかし、氏は、豊富な知識、懸命なる思考、文才と勝ち気な饒舌を備えた才人である。
だからこそ、それに反論を試みることは中々至難である。
主体性を欠いた現代人には、自分達を引っ張ってくれる強烈なリーダーが乞われているのであろう。
だから、人気があるのであろうが、あぶない危ない、このような氏をリーダーにしている東京都はあらぬ方向へ行きはしないかと心配する。
それにしても、なんとグロテスクな、読んでいて吐き気がしてきたほどであった。