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『幸福な生活』百田尚樹著を読んだ。

百田にしては珍しい短編集だが、どれも最後に一行で、抱腹絶倒、もしくは、身の毛もよだつ展開である。


そんな中から、ちょっといい話を。


【 脱衣場で服を脱いでいると、由香がドアを少し開けて顔を覗かせた。

「今日ね、いいことがあったのよ」 

にっこり微笑んでそれだけ言うと、すぐに引っ込んだ。

俊夫は苦笑いしながら、浴室に入ると、湯船に体を沈めた。

「今日、いいことがあった」というのは、妻が仕事から帰った俊夫に必ず言う決まり文句のひとつで深い意味はない。

昨日スーパーの魚売り場でおじさんがサーモンを半額にしてくれたことだった。

おとといは、車に乗っていて、いつも必ず引っかかる信号が三つ連続で青だったという話だ。

たいていはそんな愚にもつかない話だが、中には「仕事をミスした」という話もあった。

「それのどこがいいことなの?」と訊くと、由香は「一度そんなミスをすると、今後はしなくなるでしょう。だから、いいことなの」と楽しそうに答えた。

本当にあきれるほど前向きな性格だ。】 (『豹変』より)


そうですよね。

失敗をいつまでも引きずっていてもしょうがないですよね。

その失敗をステップにしなくっちゃぁ!